プロローグ第5話「日暮れまで」 ページ17
咲也「Aさん、すごいです!とっても歌が上手なんですね!!」
支配人「すごい人が集まってましたね〜」
いづみ(Aちゃん、すごいな。やっぱり、私なんかじゃだめだよね……)
咲也「監督?どうしたんですか?」
いづみ「ごめん。私劇団にいたけど、どんなに練習しても大根すぎて役者としては使い物にならなかったの」
下を向いていしまったいづみに優しく声をかけ、手を握る
「前にいづみがオレに教えてくれた。芝居で一番大切なことは?」
いづみ「っ…舞台を、楽しむこと」
咲也「そうですよ!それに大根なんて、そんなことないですよ!」
支配人「大根ぶりなら僕も自信があります」
いづみ「みんな…。うん、今は弱音なんて言ってられないね。やれるだけやってみよう!」
咲也「はい!」
支配人「どうせだめなんですから、だめでもともとですよ!」
「支配人は前向きなんだか後ろ向きなんだかわかんないね」
観客の青年「……」
(…なんだ、あいつ。ずっとこっち見てるな)
見てるが、拍手などもせず、ただ本当に見てるだけだ
(興味あるのかもしれないが、まだ様子見だな)
しばらくは演技に集中した方がよさそうだ
〜〜〜〜
咲也「はあはあ…」
「ふぅ…」
支配人「監督、次の課題は何を……」
いづみ「そ、そうねー、ええと……」
(やっぱり、全然人が集まらない。咲也も疲れてるし)
観客の少年「……」
いづみ「?」
「さっきからアイツ、ずっとこっち見てる」
観客の少年「……」
いづみ「綺麗な顔立ちの子だね」
「演劇に興味あるのかもよ。声かけてきたら」
いづみ「そうだね!」
少し遠巻きに見てる彼のもとへ、いづみが近づいていき声をかける
いづみ「……あの、演劇に興味はありますか?」
観客の少年「――」
いづみ「ずっと見てくれてましたよね?」
観客の少年「あ……え……」
「めっちゃ目ぇ泳ぐじゃん」
咲也「あれ?真澄くん?碓氷真澄くんだよね?」
「咲也、知り合い?」
咲也「話したことはないですけど、うちの学校の後輩です」
真澄「お前、誰?」
咲也「あ……やっぱりオレのことなんて、知らないよね」
「えっと、真澄くん?もし演劇に興味があるなら、試しに劇団に入ってみない?」
芝居の能力は未知数だが、佇まいもしっかりしてるし、顔もいい
期待大だ
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作者名:とりけらとぷす | 作成日時:2021年9月8日 19時