その血の運命 (ページ2)

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誕生日ページ2

寒空の下どんよりとした曇り空に覆われたロンドンの孤児院の屋根裏部屋で1人の少女が空を見上げていた。

『誕生日おめでとう私素敵な11歳になりますように』

少女ジャック・オリバンダーはそう口ずさみ

『私のお誕生日にお祝いに来てくれたの？ふふ、君たちは優しいね』

そう小さなお友達もとい鳩やネズミ、カラスに微笑みかけた。

ダンダンダン

誰かがドアを叩いている。きっとこの時間に部屋を訪れるのは1人しかいない。

「ジャックー！起きてるー？お誕生日おめでと～!」

ジャックはため息をこぼしながらドアへ向かう

『おはようメリー、そんなに強く叩かなくても聞こえるよ。』

メ「だって1番にお祝いしたかったんだもの!それよりほら!みんな待ってるよ!」

実際はシスター2人とメリーの3人で "みんな"である。

メ「あ！ジャック！お誕生日おめでと！！」

『あはは、それさっき聞いたよありがと』

　この小ぢんまりとした孤児院もかつてはもう少し子供がいたが、年上が多かったため、今残っているのはメアリーにジャックそれに年下の子供数人と片手で足りるほどしか子供はいなかった。
　そのためシスターも2人だけだ。

　これからもこの小ぢんまりとした孤児院で18歳までなんとなく過ごし、なんとなく大人になり、つまらない人生を終えるのだろうとジャックは疑うことをしなかった。
　それに、今に不満があるわけでもない。
　決してないわけではないが、食べれるものがあり、自分を慕ってくれる人間がいて、生きていけてるから、これ以上の贅沢はいらないだろうと自分に言い聞かせているのだ。

　強いて言うなら自身の髪色を嫌っていた。
　ジャックの髪色は染めているわけでもないのに
艶やかなシルバーピンクであった。
　人間離れしたその髪色は6歳になるまで一緒に暮らしていた祖父によると母に似たのだという。
　ジャックもはじめは母に似たと言う自分の髪を好いていた。
　しかし子供とは残酷なもので、孤児院に入ってからは "人間じゃない"なんて揶揄われ、次第に自身の髪を嫌うようになった。とは言え、隣にいるメリーはやたらこの髪を気に入っているようで"絵本に出てくる妖精さんみたいでかわいい！"と言うのだ。しかし神秘的なシルバーピンクの彼女の髪はバッサリとショートヘアになっており、男の子と間違われることも少なくない。本人の心の表れだろう。

ジャックは今一度心の中でお祈りをした。
『どうか素敵な11歳になりますように』