銀河の主役は我々だ！【d!】 (ページ11)

今日:18 hit、昨日:10 hit、合計:3,912 hit

・ページ11

シャァアッとピコが警戒した。

『わかるよ。うるさいね。
ほらほら落ち着けって』

いくらあやすようにピコをなでてもなお

窓を警戒するピコ。

わかる。風のせいでめっちゃうるさい。

そこで一つ思い出した。

『そういや雨戸閉めてたっけ』

窓という単語でそれを思い出した。

ちらと窓の方に目をやれば雨戸が閉まっていなかったことがすぐわかる。

外の景色はオレンジ色。

つまり夕暮れ時。

風も強いしそろそろ雨戸閉めるか。と思って

食べかけのアイス片手に立ち上がった。

『ちょっと待っててねピコ～

ッてｲ゛ｯｯ』

『噛むな噛むな噛むな』とピコを引き離す。

『ちょっと待ってて』とピコをなでようとしたら

思い切りかまれたのだ。

ピコにかまれたの初めてかも。

噛まれた手から痛みを消すように

ぶんぶん振りながらそう考えた。

この子例外を除いて温厚な猫だから
※例外ショッピ

血は出てないようだから少しは加減してくれたのかもしれない。

『ピコ、手は噛んじゃダメだからね？ね？
わかった？』

そうピコに言い聞かせれば
また一声にゃあと鳴く。

わかってくれたようだ。

ふぅと小さくため息をついて

窓に向かった。

『…。

…ピコ？裾もだめ』

妙に足が重いと思ったら次は裾をかまれていた。

『なに？窓閉めてほしくないの？』

しゃがんでそう聞けば
ピコはやっと裾から口を離した。

「にゃあ」

『まぁ窓くらい別にいつでも閉められるからいいけどさ』

ピコを一撫でして立ち上がる。

たった瞬間急にピコはシャァアアアッとまた威嚇した。

『ピコ？今日、どうし』
「見ィつけた」

言葉を遮るように後ろが温かくなって少しだけ重くなる。

頭が事態を処理するのにすごく時間がかかった気がする。

わからない。
実際はほんの数秒もしない時間なのかもしれない。

抱きしめられたのだ。

ピコと私しか今いないはずのこの家で。

知らない人の声だった。

怖い。

後ろを振り向けない。

あは、と小さく笑ったのが耳元で聞こえた。

「震えてて怯えてて怖いん？かわええ」