¢５４．人間味 ページ9
＊
すぅ、と、息を吸った。肺に送り込まれるのは塩水なんかじゃなく、ちゃんとした、空気。
目覚めた私は海水に包まれてはいなくて、木造だと一目で分かる部屋に寝かされていた。
口の中はしょっぱくて、目は痛い。
「海水…染みてるからだ…」
死んでない事に絶望を感じ、同時に、生きてる事に安堵した。
「Aちゃん」
「…コアラちゃん、どうしたの？」
平静を装って、目の前のコアラちゃんに顔を向けると。
ぱしん、と乾いた音が鳴って、頬に痛みを感じた。叩かれたんだと冷静に判断出来て、今の私は人間味を欠いているかもしれない。
……いや、"かも"じゃないな。
「どうしたのじゃないでしょ。何したか分かってるの、ねぇ？」
「分かってるよ、当たり前じゃん」
「何であんな事したのッ!!!」
「何でって………」
コアラちゃんの言葉からは、酷く怒りを感じた。滅多な事じゃ大声を出さない彼女に大声出させた私って、凄い。
「だって……好きって言えないじゃん」
サボもコアラちゃんも、他の皆も、天竜人の被害者なんだから。好きなんて、言えない。
サボの事が好きだとも、コアラちゃんの事が好きだとも、皆の事が好きだとも、言えないじゃないか。
「共存なんて無理なんだね」
あんな場所が嫌で家出してきたけど、やっぱり外には被害者がいっぱい居て、加害者一族の私はその事を隠さなきゃ生きていけない。
だけど隠し事は良くない。大切な仲間だし。だから言いたいけど、これからの事を考えたら言えないし。
こんな事なら。
「家出なんかしなければ良かった」
そもそもの間違い。
私が堪えられなくなっちゃったから駄目だったんだ。堪えて堪えて、一生を過ごせば良かった。
「意味が分かんないよ…何言ってるの…？」
「コアラちゃんが話してくれたから私も話すよ。
私、天竜人なの。ドレイ達の悲鳴とか、とにかくあの場所が嫌で家出したらサボが拾ってくれた。
何で背中に模様があるのかは知らないけどね」
最後まで言い終わる前に、コアラちゃんは部屋を出て行った。
「…っ」
涙が溢れるのを止める術はない。
.
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 269人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クソワロタンバリン - すご (2018年8月15日 11時) (
レス) id: bd83451188 (このIDを非表示/違反報告)
寂音弥花(プロフ) - れーずん¢さん» ごめん、私もみてなかったわ() 書けないんだよね、本当 妄想という名のネタはうかぶのにね(( (2016年3月1日 17時) (レス) id: 10332bf01f (このIDを非表示/違反報告)
れーずん¢ - 寂音弥花さん» ごめんんんんん全然見てなかったあああああ!!!!!((( 書けないww分かるわwwもはや気力も湧かない((そもそもの問題 (2016年2月18日 22時) (レス) id: eeb063580e (このIDを非表示/違反報告)
寂音弥花(プロフ) - れーずん¢さん» ごめん、占ツクきてなかった(( マフィア松いいよね!!もう大好き(( だ が か け な い (2016年2月5日 20時) (レス) id: 10332bf01f (このIDを非表示/違反報告)
れーずん¢ - 寂音弥花さん» 最近は占ツクに来ることすら少なくなったww((( カラ松のヤツを完結させてマフィア松を書くという目標はどこへ消えてしまったんだろうwww (2016年1月25日 22時) (レス) id: eeb063580e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：れーずん¢ | 作者ホームページ：
作成日時：2015年7月6日 22時
