【REBORN!】調整役とやらに選ばれました (ページ25)

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(素晴らしい出来栄え。流石私だ……)

出来上がったケーキを見てAは心の中で自画自賛する。

ビターチョコをふんだんに使った大人なテイストのチョコレートケーキ。彩のために乗せたイチゴの配置も完璧と言えるだろう。

「わあ！ Aちゃんのケーキすっごく綺麗で美味しそう！」

「え？あ、ありがとう京子ちゃん。京子ちゃんのも美味しそうだよ」

同じ班で実習をしたからか、Aと京子、京子の親友である花の三人はすっかり下の名前で呼び合う程度には仲良くなっていた。

そんな話をしていると花が二人の元に駆け寄り皿に乗ったケーキを持って教室の方へ行こうと言う。

「あれ？箱？」

「あーうん。ツナたちにあげたらすぐ行かないといけないところあって」

「Aちゃんたくさん作ってたもんね」

「頼まれちゃって……」

教室に向かい、花が扉をガラリと開ける。

「今日は家庭科実習で作ったケーキを……」

「「男子にくれてやるー！！」」

そんな声とともに色とりどりのケーキと、甘い香りが教室中を包んだ。

「ツナ！はいケーキ」

「ありがとう。って３つ？」

「獄寺君と山本君にって思ったんだけど……獄寺君、いないみたいだね」

「あーうん、何だかお腹痛いみたいで……」

「そっか。流石に２つ食べろっていうわけにはいかないよね……ツナはこれから京子ちゃんのも食べるわけだし……」

「いや決まってるわけじゃないよ！？」

「あはは、それじゃあ山本君どうぞ」

「ありがとな下風！」

「どういたしまして」

既にツナからのメールでツナと山本が仲良くなったのは知っているが、きちんと話したことはなかったため、ケーキを作って渡すのは……とも思ったのだが、ツナと仲がいいのは変わらないし、山本の人の良さはわかりきっていることであるためAはケーキを作った。

実際に山本は嬉しそうにケーキを受け取った。

「よし任務完了！本当は食べてるところ見たいんだけど、私行かないといけないところあって……後で感想教えてね！」

「うん！」

「ケーキありがとな、下風！」

「どういたしまして！」

足早に教室を出るA。

獄寺用だったというおこぼれのケーキにあずかろうとしたのだが、Aの眼中にも入らなかった他の男子たちはがっくりと肩を落とした。

ツナの手元にあるケーキを奪ってやろうかとも思ったのだが隣に山本や、女子がいる手前そんな醜い争いを繰り広げることは出来なかったのだった。哀れである。