片想い。 (ページ8)

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放課後、部活が休みだった。

バス停までの近道の体育館裏を通ると、

愛しいキミの声が聞こえた。

「えっちょっとくすぐったいよ～///」

「耳弱いんだ」

ガヤとキミ。

手に力が入る。

「ねぇもうバス来ちゃうから」

「もう少し一緒にいたかったのにな。」

カップルだ。

俺には踏み込めない。

――― あっ！玉森く～ん♡

背後から声がする。

「玉森君？」

キミの声がする。

途端に聞こえるいやらしい唇の重なる音。

「俺だけ見てろよ。」

俺の何かが壊れる音がした。

「ちょっ、ん太っっ輔ぇ///」

行き場のない俺。

このままキミの前を通ったら……

――― 玉森君♪♡

ギュッ

俺の腕に絡みついてきて意識的に胸をこすりつけてくる。

『ごめん。バスだから。』

――― 私、玉森君のお家に行きたいなぁ！

振り向いたらガヤと目があった。

『っ！』

ガヤの後ろから顔を覗かせる、制服の乱れたキミ。

『・・・離せ。』

腕に絡みついている子をにらむ。

――― 怖いよ玉森君♪

胸が苦しい。

『バスだから。さよなら。』

そう言い残して、体育館裏を突っ切る。

風が頬を冷たく撫でる。

悔しくたって悲しくったって泣きたくったって、

それでも俺は・・・

・・・キミが好き＿＿＿＿