片想い。 (ページ5)

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昼ごはんの時間。

俺を追いかけてくる女子から逃げて屋上に来た。

『A…』

屋上にいたのはキミだった。

キミだけだった。

『ガヤは？』

俺を悲しい瞳で見るキミ。

「女の子たちの追いかけられて逃げちゃった！」

「へへ！すごいよね！！」

「自慢の彼氏っていうか！」

「もう誰に写真見せてもかっこいいしか言われないよ！」

「たまに惚れた！って言う子もいるし……」

『不安？』

キミの隣りへ歩いて行く。

「なわけないじゃん！！！」

「いっやぁ！うれしいもんだよ！」

「全然！悲しくも悔しくもないし！」

「とられちゃうとか思ってないし！」

キミの口から発せられる強がりな言葉。

『悲しいなら悲しいって言えばいい。』

『寂しいなら寂しいって言えばいい。』

『泣きたいなら…泣けばいい。』

自分に言い聞かせてる。

泣きたいならなけばいい。

そんなのわかってる。

『泣く場所貸すから。』

「玉森くん……」

キミの隣りに腰を下ろす。

『弁当・・・おいしそうだね。』

頑張って笑顔を作る。

きっとこの弁当はガヤのための弁当。

「食べる？」

「どうせ…戻ってこないから。」

もしかしたら…

ガヤは浮気してるのか？

なんて考えると、嫌な笑顔がこぼれそうになる。

『いただきます。』

綺麗な形の卵焼きを口に運ぶ。

『うん。うまい！最高！！』

本当の笑顔をキミに向ける。

キミが本当の笑顔で俺に笑ってくれた。

「泣く場所…貸して…」

『あぁ。』

キミが俺に触れる。

「触りたくない…」

『でも触ってる。』

「玉森君のこと見たくない。声も聴きたくない。」

『なんで？』

キミが俺を強く抱きしめる。

箸を止めてキミを見る。

キミが顔を上げて俺を見る。

『Aがわからない。』