四十五 ページ5
「そんな事より冨岡はどうするのかね。拘束もしてない様に俺は頭痛がしてくるのだが。胡蝶めの話にもよると隊律違反は冨岡も同じだろう。どう処分する、どう責任をとらせる。どんな目に合わせてやろうか。」
いつの間に登ったのか、木の上から蛇柱はネチネチと言葉をぶつけはじめた。大方、気に入らない冨岡へである。
蛇柱 伊黒小芭内。鏑丸という白蛇を連れた蛇の呼吸を使う隊士である。何かと嫌味や皮肉交じりの言葉で接する偏屈な男ではあるが、規律や礼儀は大切にする人間だ。甘露寺を好いているようで本日も一緒に現れていた。
「何とか言ったらどうだ、冨岡。」
「……………。」
冨岡はちらりと目線を向けただけで何も言わない。
伊黒と冨岡は大変折り合いが悪い。
というか、冨岡が他の柱と仲良くする気が全くもって無いのだ。
「まあいいじゃないですか。Aさんに大人しく着いてきてくれましたし。処罰は後で考えましょう。」
「ア゛ァ!?後でだァ!?何言ってやがる、冨岡も斬首に決まってンだろうがァ!!!」
冨岡と伊黒以上に折り合いが悪い風柱が反応した。
風柱である不死川実弥は見た目や言動に似合わず真面目な青年である。隊律違反、それも特に厳罰に当たる鬼の見逃しが許せないのだろう。
真面目な彼は柱合会議の際は必ず一番目に産屋敷邸に居ると聞く。
彼は稀血で、自らの血を使用し鬼と戦うのでいつも生傷が絶えない。主治医としてはもう少し自らを大切にした戦法を見つけて欲しい。
「あのう…。一つ疑問があるんですけど〜。
御館様がこの事を把握してないとは思えないです…。勝手に処分しちゃって良いんでしょうか?いらっしゃるまでとりあえず待った方が………」
おずおずと挙手をして、恋柱も話に加わる。
恋柱 甘露寺蜜璃。炎の呼吸から派生した恋の呼吸を使う剣士だ。天真爛漫かつ感情豊かで表情がころころと変わり、しのぶにも気さくに話しかけてくれる。
いつも元気で可愛らしい彼女がしのぶは好きだ。
「妹は」
炭治郎が音を絞り出す。
「妹は俺と一緒に戦えます!!!!鬼殺隊として、人を守る為に戦えるんです!!!!」
「テメェ!!!」
不死川が炭治郎を抑えようとしたその時、
「御館様の御成です。」
御息女 御二人の声により、ゆっくりゆっくりと御館様が奥から現れた。柱は全員跪き、炭治郎の頭も近くに居た錆兎によって地へ押さえつけられた。
56人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あちゃん | 作成日時:2021年1月10日 19時