六十七 ページ30
ギィィイヤァァァアアアアアアアアッッッ!!!!!
一番大きな断末魔が辺り一帯に響くと同時に、ぐらりと地面が傾いた。まずい、列車が脱線した。
すぐに呼吸を出す。
一番得意である水の呼吸を連発し、少しでも衝撃を緩和する。
___ドォォォォオオオン
激しい砂煙を起こし、列車は脱線したものの横転はせず、その形を保っていた。
だが、窓は割れ座席は動き、先程まで寝ていた乗客も次々と起き出す。現場は騒然としていた。
Aは列車の後ろ側へ窓から投げ出されてしまっていた。避難する乗客を援護しつつ、上弦の鬼が現れるまで後どのくらいか考察する。
皆は無事なのだろうか。
特に炭治郎と伊之助は下弦の鬼と直接対峙している。怪我も負っている筈である。
善逸、禰豆子はこちら側に投げ出されているのを確認できた。数箇所怪我をしているが、命に別状はなさそうだった。伊之助は救助活動をしている。
とりあえず、避難を仰ぎつつ杏寿郎と合流しよう。
様子を見に行こうと思ったその時だった。
轟音と共に、地が揺れる。
音の発生源は列車を挟んだ向こう側だった。
____まさか
音を聞き付け、列車の向こう側へと走る。
こちら側にいない炭治郎と杏寿郎が居る筈だ。
油断していた、まさかこんなに早く来るだなんて。
杏寿郎は、相手………上弦の参と相対していた。
Aは杏寿郎!!!!と駆け寄る。
それを、杏寿郎はこちらを見ずに制止した。
「列車の乗客を避難させてくれ!!!」
「っでも」
「俺は、俺達は強き者の責務を全うしなければならない。
今やるべき事がわかるだろう!A!!!」
「………わかった。
絶対一人で先走らないで。必ず行くから、必ず」
「ああ、信頼している!乗客を頼んだぞ!」
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年1月10日 19時