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「わかった、此方は私が引き受ける。
この列車は十二両編成だった。後方五両は私が守るから炭治郎は伊之助と頸を探して!」
「そ、それ以外の車両は!?」
「大丈夫、杏寿郎がいるから。
杏寿郎が絶対に起きる。
今からもう一発この鬼に喰らわすから、炭治郎は再生の間に此処を駆け抜けて前方車両にいる伊之助に伝えて!途中で杏寿郎も居るはずだから起きていたら杏寿郎にも前五両を守るように伝えて。」
間二両は善逸と禰豆子に守らす算段である。
炭治郎は深く頷いた。
「じゃあ行くよ。」
「はい!」
この車両全体の肉壁を丸ごと抉り取ってやる。
Aは又もや低く構え、ふぅぅぅと呼吸を吐いた。
「____炎の呼吸」
「肆ノ型 盛炎のうねり!」
列車を覆う肉壁を抉る。
鬼の断末魔と凄まじい爆音が響いた。
Aの合図と共に、炭治郎は走り出す。
「す、すごい…流石柱………」
数分後、前方車両の方で同じような轟音が鳴り響いた。
「杏寿郎が起きたかな」
斬撃音はどんどん此方へ近づいてきて、己の前で止まる。
ぐわっと顔を近づけた杏寿郎は、軽快に叫んだ。
「よもやよもや!うたた寝している間にこんな事になってるとはな!柱として不甲斐なし!」
「近い……………うるさい…………」
「それはすまん!
大体の話は竈門少年から聞いた!頸は彼らに斬らせるのか?」
「あの子達が最初に起きたもの。至近距離で眠らせたりしてくる血鬼術だったらすぐに対応できる炭治郎の方がいい。」
「それもそうだな!!!」
「杏寿郎…この調子で戦い続けたら列車は横転すると思う。横転するって思ったらなるべく沢山の斬撃で衝撃を和らげてほしい。」
「……了解した!!!」
杏寿郎は返事をすると行きと同じ速さで前方車両へ戻って行った。柱が二人いれば乗客は守りきれるだろう。
後は炭治郎達に託すのみ。
Aはそう決め、五両間を只管移動し鬼を斬るのだった。
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作者名:あちゃん | 作成日時:2021年1月10日 19時