恋は盲目愛は無作為【ヴィランズ】 (ページ4)

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３話ページ4

「全く・・君と同室とは、嬉しくなさすぎるサプライズだよ」

部屋に運び込まれた荷物の整理をしながらマルフィが言った。

「同感だ」

嘘だ。

私は、口ではああ言ったものの、

本当は独りでいるよりも、ずっと嬉しかった。

たとえ、その相手がマルフィだったとしても。

すると、コンコン、と扉をノックする音が聞こえてきた。

扉を開けると、スキャターが立っていた。

「どうしたんですか、スキャター」

「あっ、はい。えっと、明日の予定をお知らせにきました。

　午前中は特になにもありませんが、午後からリクルーティングがあります。

　メンバーは当日決めるそうです」

「分かりました。ありがとうございます。

　・・ちゃんと聞いてたか、マルフィ」

「勿論さ。・・ああ。やはり今日も私は美しい」

マルフィは手鏡で自分の容姿を確認しながら返事を返した。

最後の一言が非常に余計だった。

「不躾な鴉め。自己陶酔もいい加減にしろ・・。

　おっと、すみませんでした、スキャター。

　私としたことが、作法がなっていませんでしたね」

「いえ！そんな・・。Aさんはとても紳士的でかっこいいお方です！」

「その言葉、ありがたく受け取っておきます」

軽く微笑んで少し言葉を交わした後、

スキャターとの会話を終え、部屋の中に戻った。

「・・前々から疑問に思っていたんだが、

　どうして私への態度とほかのみんなへの態度があんなに違うんだ？」

「どうして・・だろう。分からない。

　お前とはただ、そりが合わないだけで嫌悪の対象ではないから」

「私には、さっきスキャターと話していたときの君は

　とても無理をしているように見えた。

　むしろ、今の方が素の状態な気がするんだが」

「無理なんてしてない！」

やめろ、マルフィ。それ以上何も言うな。

「だが、笑顔が固かった。何かあったのか」

本当のことを言われると怒るというのは、あながち間違いではないらしい。

『何かあったのか』その一言を聞き、頭が真っ白になる。

次に気がついたときには、マルフィの頬には朱色の線が走り、

私の爪からは赤い液体が滴り落ちていた。

「っ！・・ごめん」

急いで傷口を押さえて止血をした。

彼が美しいと自負している顔を傷つけてしまい、罪悪感が湧いてきた。

「・・私こそすまなかった。深く干渉しすぎたな」

「ちょっと、頭、冷やしてくる・・」