恋は盲目愛は無作為【ヴィランズ】 (ページ24)

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２３話ページ24

とりあえず、一番近くのテーブルに移動する。

「ハッピーハロウィン。お会いできて光栄です」

「こ、こちらこそ！あの、サインしてくれませんか？」

そう言ってペンを差し出してくるゲスト。

勿論、ＯＫした。

「勿論です。ところで、ヴィランズの世界に興味はありますか？」

そのゲストは元気よく肯定の返事をした。

これは、脈あり・・かな。

「それはよかった。貴方をヴィランズの世界に招待します！

　６６６年後の１０月３１日、深夜１２時ぴったりに

　タワーオブテラーの最上階に１人で来てください」

「はいっ！分かりました！」

「お待ちしておりますよ、マドモアゼル。

　その約束、お忘れなきよう・・」

そう言って跪き、手の甲にキスをした。

こういうのをやるのは好きじゃないが、しょうがない。

仕事のため、マスターのためだ。

「Aさん、かっこいい・・！」

「マジ紳士・・」

そんな呟きが聞こえたので、軽く手を振っておくと

またまた歓声が上がった。

次に来たのは割と遠いテーブル。

よくないことにマルフィと鉢合わせしてしまった。

「私の行く先々、何でお前がいるんだ」

「それは、私が聞きたいよ」

私たちの間で火花が散る。

互いに譲らず、睨み合いが続いた。

「あー！また喧嘩して！ほらほら、マルフィはこっち。

　A、そっちは頼んだぞ！」

ダルメシアがマルフィをずるずると引きずって行く。

ありがとう、ダルメシア。

「こんにちは。ハロウィン、楽しめていますか？」

私がそう訊くと、ゲストの女性は首を縦に振った。

そういえば、女性がほとんどだ。

男性もちらほら見えるけど、そこまで積極的ではなさそうだ。

「ところで、貴方はヴィランズに興味はおありですか？」

「何で、また・・」

先ほど追い払ったはずのマルフィの声が聞こえ、

怒りを露わにして後ろを振り返った。

ゲストたちはというと、予想外の者の登場に悲鳴を上げていた。

再び首を縦に振った女性を見て、マルフィはヘリオトロープの目元を細める。

ヴィランズらしい、邪悪な笑みを浮かべて。

「では、ここにいるAと私。どちらの手を取りますか？

　勿論、拒否する、という選択肢もありますが・・」

拒む可能性が０に近いことを見越しての発言だろう。

「さあ、お選びください」