恋は盲目愛は無作為【ヴィランズ】 (ページ18)

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１７話ページ18

予想通り、リクルーティングの会場には

沢山の人間が集まっていた。

正直言って、騒がしい。

「A。顔、怖いわよー」

スカーが私の顔を覗き込んで言った。

顔に出ていたか。これは、失態だ。

「最初のポーズレクチャーって誰なんだ」

「じゃあ、僕最初で！」

ジャックが率先して前に出た。

切り込み特攻隊長、頑張れよ。

数人のレクチャーが終わり、次は私のようだ。

マイクの前に立ち、深呼吸をした。

これは何度やっても慣れない。

「皆様、ようこそおいでくださいました。

　もし、こちらの世界に魅せられたのならば、私の手をお取りください。

　ご安心を。願いは叶えて差し上げます。静かにしていれば、ね」

お決まりの口上を述べ、ポーズをとる。

その度にゲストの間から黄色い歓声が上がった。

「次、お願いしますよ、スカー」

「はぁーい！」

元気よくマイクへと歩いて行ったスカー。

彼女の口上を聞いている最中に思いだした。

横に立っているエイトフットを見ると、一点を見つめたまま硬直していた。

――――嗚呼。まずい

咄嗟に、そのままの体勢で倒れ込んできたエイトフットを受け止める。

「うっ・・」

だが、いくら痩躯なエイトフットといえど、成人男性の体だ。

そして、男女では圧倒的なまでの差がある。

１人で支えるには限界があった。

「またか・・」

そんなマルフィの呟きと同時に腕にかかっていた力が無くなる。

私の代わりにマルフィがエイトフットを支えていた。

何度か顔を叩くと、エイトフットは目を覚ました。

「ありがと、マルフィ」

「いや。これぐらい、どうということはない。

　・・すまなかったな。さっきは酷いことを言ってしまって」

「やめてよ、調子狂うから。あれに関しては、私も過剰に反応しすぎた。

　ほら、次はマルフィでしょ？頑張って」

「・・そうみたいだな」

マルフィはリクルーターたちを一瞥して、優雅な動作で歩いて行った。

その一挙一動に悲鳴を上げるゲストたち。

ほんと、人間は色々な意味で忙しい生き物だ。