恋は盲目愛は無作為【ヴィランズ】 (ページ17)

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１６話ページ17

身支度が終わり、出てきたマルフィと入れ替わりで部屋に入る。

着ていた服を脱ぎ、マルフィにならい、ハンガーにかけた。

新しいシャツに着替え、その上に黒のモッズコートを羽織った。

シンプル過ぎないか、と言われたこともあったが、

これが一番落ち着くのだ。

というか、あいつらが派手すぎるんだ。

あのなりではサバンナで生きていくなど到底できない。

スカー様が見たら鼻で笑うに違いない。

ネックレスを首にかけ、髪の毛を結びなおした。

できるだけ、この包帯は隠した方がいいだろう。

ゲストにあらぬ噂をたてられては困る。

部屋から出て、リビングに向かった。

やることがないのか、オフであるリクルーターも数名いた。

「似合っているぞ、A。やはり、それが一番だ」

「ありがとうございます。ホックも似合っていますよ」

微笑みながら声をかけてきたホックに応対する。

今日の仕事は彼女と一緒だから、何かと安心できる。

「何事も最初が肝心だからな。

　マルフィとの喧嘩はほどほどにしてほしい」

「その言葉、そっくりそのまま返しますよ、アップル」

「まあまあ。物忘れの酷いおじいちゃんは置いて行こうよ」

悪戯っぽく笑ってジャックが言った。

その一言が余計なんだよ。

「私はアップルポイズンだ！」

「偉い偉い。自分の名前ちゃんと言えたねぇー」

「っ、貴様ぁ・・！」

挑発するジャックもジャックだけど、

それに素直に乗っかるアップルもアップルだな。

「いい加減にしろよ・・！」

あからさまにイラついた様子のエイトフットが呟いた。

小さな声だったが、それはしっかりと私の耳に届いた。

「ジャック、そろそろ行かないと遅れますよ。

　アップルも落ち着いてください。

　いつまでも喧嘩してたら、

　怒りでエイトフットがゆでだこになっちゃいますよ」

「誰がゆでだこだ！」

エイトフットの言葉に全員が「蛸だろ、お前」と反論した。

それを聞くと言葉に詰まり、苦々しそうに顔を歪めた。

間違ったことは言っていないはずだ。

だって、彼は蛸だから。

「ほらほら。いつまでも遊んでないで、行くよ」

Мr.Ｖの言葉で仕事のことを思いだす。

「いってらっしゃーい！」

ダルメシアの元気な見送りの声が聞こえる。

私たちは、ホテルの外に向かって歩みを進めた。