14話 ページ15
マルフィが部屋を去ってから数分後。
救急箱のようなものを持ったスキャターが来た。
「Aさん・・。大丈夫、ですか・・?」
おずおずと心配そうにこちらに話しかけてきた。
「大丈夫。これぐらい、どうってことないですよ。
少しマルフィと喧嘩をしてしまったものですから」
「どうしますか?今日のリクルーティング」
「休むほどのものでもないので―――っつ!」
消毒液が傷口にしみ、言葉を途切れさせる。
多少の痛みは致し方ない。ここは我慢しよう。
そう思い、大きく息を吐き出した。
「・・はいっ。終わりましたよ」
スキャターは手際よく手当てを終わらせた。
慣れているのだろうか。
「ありがとうございます。すみませんね、いつも迷惑ばかりかけて」
「いえ。それは、私の方ですよ!」
顔の前で手をブンブンと振り、
慌てたように言うスキャターを見て、自然と笑みが零れる。
よし、いつまでも後ろ向きではいられない。
「じゃあ、今日のリクルーティングについての会議をしますから行きましょうか!
みなさん、もう集まっていると思うので」
指定の場所に行くと、スキャターの言う通り
全員が椅子に座り、私を待っていた。
ヴィランズレディの目が笑っていないのは気のせいだ、きっと。
「よし、全員揃ったな。
今日のリクルーティングについてだが、
メンバーがまだ決まっていないんだ」
「それで、今から決めるってのか?」
気だるそうな声でエイトフットが言った。
それを聞いたМr.Vは顔に笑みを浮かべ、肯定の意を示した。
「そういうことだ」
「お願いだから、このクソ林檎とだけは勘弁してよね」
クイッとアップルを指さしながらジャックが言った。
大方、予想通りの台詞だ。
「それはお互い様だ、トランプ野郎」
「あ゛?自分の首と身体がサヨナラするとこ見たいの?おじいちゃん」
「こら。止めないか、君たち。美しくないぞ」
喧嘩になりそうだった2人をマルフィが制した。
相変わらず手鏡の中の自分とにらめっこしたままだったが。
「心配せずとも、2人を一緒にはしないさ。
初日に問題を起こされたら、たまったものじゃない」
「それには同意するわ・・」
ハーデスの言葉に全員が頷いた。
リクルーティングに来て早々、首が飛ぶなんて洒落にならない。
特にジャックがアップルに対して言った時は。
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猫目石(プロフ) - つ、、、続きを御恵みくださいませ〜!! (2021年3月18日 17時) (レス) id: 5676b10c1c (このIDを非表示/違反報告)
アカネ(プロフ) - 面白いです!更新、待ってますね! (2018年10月24日 17時) (レス) id: 839f704c20 (このIDを非表示/違反報告)
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