優しい雨。【鬼滅の刃】 (ページ1)

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「見ろよ、柱だ」

一人の隠(カクシ)が云う。その瞬間傍らにいた隠の表情が凍りつき、たちまち緊張が流れた。

柱合会議だろうか、御館様を筆頭に柱一人一人が些(いささ)か神妙な面持ちで構えている。

言わずもがな柱は他の隊士達や隠から怖がられている。柱の中にはやけに図体が大きい者や顔中に傷がある者など直接的に恐怖を煽るような人物ばかりである。

「あんなもん下手に近付いたら刀で一刀両断だろ……」

「ひーこえ〜」

もちろんそんなことをしたら隊立違反になるが、一部の柱にはそんな理性なんてものはなさそうだ。あんな人間離れした者たちを前にしてもなお、穏やかな微笑みを浮かべる御館様はそうとう肝が座っておられるのだろう。

「あれ、あそこにいんの誰だよ？柱にあんな人いたっけ？」

「あー、雨柱様だよ」

一人の隠によって指をさされた彼女は雨柱だ。透き通るような淡い色の髪、自信のなさそうな表情に挙動不審に動く視線。

彼女もまた、紛れもない柱である。

「あれが柱だって？世も末だな」

「やめろ、聞こえるぞ」

(聞こえてるよぉ……………)

一人の柱は泣きそうになるのを堪えながら心の中で零した。