if 白虎と初めの黒い龍 (ページ27)

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5・アディショナルパーティーページ27

恙無く式が終わり、あとは帰るのみとなって、夫に寄り添いながら帰路を辿ろうとした李里の目の前に、友人の内数人と片割れが立っている。
「みんなどうしたの？」
「リリィとシンイチローに渡したいもんがあるんだよ」
万次郎が一虎の背に手を置きながらニコニコ笑っていた。
「姉ちゃん、そしてお義兄(にい)さん。これ！貰って！」
差し出されたのはハガキサイズの小さな紙片。そこには「招待状」と書かれている。
「三ツ谷とか、姉ちゃんの友達がドレスも着せてあげたいって…」
李里は真一郎と顔を見合わせて、どちらからともなく表情をゆるめた。そして片割れに向き直って、そっと片腕で抱き寄せる。
「ありがとね」
「！」
「いつから企んでたの？」
からかうように頬をつつけば、真一郎くんとオマエの結婚が決まってから、と口を閉ざしてしまった弟の代わりに場地が言う。
「結構前からなんだね。ふふ、全然気づかなかった」
「そりゃそうだろ、ばれてちゃ意味ねぇし。あさってリリィの新築の店だからな！」
忘れんなよ！と手を振る万次郎に手を振り返して、李里と真一郎は住処に帰った。

　当日、ちょっと小綺麗な服で夫を伴ってパーティー会場に行けば門番のようにめかし込んだイザナとエマが立っている。
「新郎新婦襲来だ」
「であえであえー！」
ゆるく笑った親友に、大人しくしててねと言われてじっとしていれば柔らかい生地合いの幅広なリボンで目隠しをされた。
「何だこれ！見えねぇんだけど！？」
狼狽える夫に手探りで触れて、胸板を叩く。
「真一郎さん、大人しくイザナくんたちについて行こう」
「お、おう…」
「新婦はこっち！ニィ、新郎は任せた！」
「ん」
転ばない程度のスピードで手を引かれて、屋内に入ったことを察する。ざわざわと聞きなれた声たちの折り重なりが聞こえて、頬が緩む。
「お願いしまーす！」
「はーいエマちゃん。お義姉さんは任されましたー」
手早く服を変えられる感覚と、顔に化粧筆が触れる感覚。後は髪を弄られた。
「エマちゃん、真一郎さん準備できたって」
「オッケー、ありがとヒナ。リリィ、行こ」
「はーい」
スマートに腕を組まされて、庭へ出る。大勢の気配。そして、隣に夫の気配。せーの、と聞こえて目隠しが外される。真っ先に入ったのは、映える長身を瀟洒にアレンジされたタキシードに包んだ夫。そして、めかした愛しい友人や身内と、飾り付けられた庭。花弁がふわりと撒かれて李里のドレスに淡く影を落とした。