if 白虎と初めの黒い龍 (ページ21)

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4・終・銀の契りページ21

指環を購入して数日後の休日。真一郎は若狭のバイクの定期点検をしていた。その胸元にはいつものチェーンネックレスに通した銀の環が光っている。その反射に目を留めた若狭は李里関連かな、と見当をつけながら指摘した。
「ソレ、あの娘とオソロイ？」
「おう。予約済ってわかるだろ？」
想像以上のぞっこん具合に真一郎の恋の相手を思い浮かべてみて、別にあの娘なら嫌がらないどころか喜ぶと思い直した。
「もう逃がす気ねぇし、李里にはオレ以外との未来は考えられないって言われたし」
声に質量があればきっと地を割ってマントルに突き刺さるような重い声。抵抗しない白虎に絡みついて喰おうとしている黒い龍が思い浮かぶ。
「…あんまり可愛がりすぎて抱き潰すなヨ？」
「…」
「アレ？もう手遅れ？」
何も言わず微笑む真一郎。先日からどこか自信が増したことから少なくとも一度は李里を抱いただろうことは察せる。ただ、反応からしてハジメテで嬉しくなって何回か抱いたんだろうなと思われた。
「え、シンちゃん何回戦したン…？」
「…五」
「うわ…」
「引くなよ！オレだってがっつきすぎたかなって思ってんだからな！」
アイツ、もうやめた方が良いかなってオレが思った途端に『もっとして』って言うし…。そんな風に弁解を述べられたって、若狭のドン引きゲージは下がらない。
「…まぁ、幸せなら良いと思う…」
「おう…」
なんとも言えない空気が漂う。膠着状態に陥ったかと思ったその時、噂の渦中の人物が入ってきた。
「こんにちは。あれ、今牛さん来てたんですね」
思わず左手の指を観察して、そこに銀の光沢があることを認識して思わず溜め息が出た。
「もうオマエら籍入れちまえヨ」
「今牛さん!?」
驚きのあまり目を見開いて毛を逆立てる猫のような李里とものすごく嬉しそうな真一郎に笑ってしまう。この幸せそうな激重感情渡し合いカップルは、お互いしか見ていないくせにそれを指摘されると照れたり喜んだりするので見ていて楽しいのだ。
「専門学校入学までは“こども”でいたいので、最低でもあと２年程待って貰わないとですね…」
「…ガンバレ」
人望のある旦那としっかり者で愛情深い嫁になるだろうナ、やっぱりもうコイツら早く結婚しねぇカナ。と思いつつ若狭は肩をすくめた。