隊服騒動 ページ6
数日後、隊服が届けられた。
「おじさま、これが正式な隊服なんですか?」
着てみてください、とやけに興奮気味に言う眼鏡の隠に押されて袖を通してみたは良いものの。
「足が、すーすーします」
上半身は長袖の詰襟。問題は下半身だ。大腿部の半ば程までしかない短い袴、俗に言う短パンだったのだ。それを見た光穂は縁側で飲んでいた茶を噴いた。穂希はかわいいわねと笑っている。
「いや、違うからな!?本来なら下半身は脚全体を覆う長さだ!」
「そうですか…折角作っていただいたのに申し訳ありませんが、その、脚全体を覆う長さでお願いできますか?」
隠は、雷の呼吸を使うなら脚に邪魔は少ない方が良いだろうとか力説してくれた。その説明を聞くうちにAはそれもそうかと思い始める。
「だが、少しばかり露出が多い気が…」
光穂の父親視点の物言いに前田と名乗った眼鏡の隠はやれやれと頭を振った。
「ですが、可愛いでしょう?」
む、と光穂は押し黙った。
「前田さん、これ、防御力的には問題ないんですよね」
「はい勿論!」
すーすーするのは靴下を履けばいいかとAは頷いた。
「ならばなにも問題はありません。わざわざ届けてくださってありがとうございます」
いやいやどうも、と言い放つなり前田はすったかたー、と走り去る。
「日輪刀が来るのが楽しみですね」
「そうだな」
「Aはどれくらい濃く染まるかしらね」
和気藹々と親子の会話が続いた。
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作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2022年8月8日 20時