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陽光 ページ38
Aは、夢と現を漂って、鬼舞辻無惨が引導を渡されたあの日の３ヶ月後に目を覚ました。上体を起こすと懐かしい寝具。穏やかな鼻歌。軽やかな足音は穂希が廊下を小走りで進んでいるからだと分かった。
「A、入るわよ」
聞かれることを想定していないのだろうその小さな声に、Aはやわく微笑んだ。障子が開いて、穂希が入ってくる。その方に顔を向けて、筋力の落ちたせいで動きづらい表情を動かして、おはよう、と呟いた。
「…A！」
清拭用の、水桶と手拭いがひっくり返った。穂希が泣きながら抱きついてくる。それを、緩慢な動作で抱き返した。
「A…！A！本当に良かった…！」
「おい、何の騒ぎ…。…！」
光穂の目がいっぱいに見開かれて、そこから涙が溢れる。光穂は真っ直ぐ二人の元に歩み寄ると、妻と娘をまるごと抱きしめた。
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作者名：契 ゐと（元 いときち丸） | 作成日時：2022年8月8日 20時
