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勝利 ページ35

時折玄弥がピンポイントで打ち込む弾丸が、着実に無惨の体力を削っていく。終わりの兆しが見え始めた頃、唐突に攻撃が変わった。対処しようとするも、弾き飛ばされる。左脚の脛から下が切り落とされて、ブーツの中に血液が溜まる。靴の土踏まずの部分と太腿の靴下留めとをきつく襷で結わえて、脱げないようにした。
 日が出始めた。形態を変えた鬼舞辻無惨が、赤子の姿になって逃亡しようとする。悲鳴嶼の日輪刀の鎖が、鬼舞辻無惨の体に巻き付く。命懸けの綱引き。満身の力を込めて、踏み込みの効きづらい足を踏ん張って、手に食い込む鎖を必死で引いた。鬼舞辻無惨が、朝の陽光の中へと引きずり出されていく。そうして、ついに完全に日の光に全身を晒された鬼舞辻無惨は崩壊を始めた。先年千年近い因縁に、やっと引導が渡される。灰になっていくその姿を見ながら、性急な呼吸をする。日は、完全に昇った。

 

罪の咎め、神鳴り→←肉の繭



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作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2022年8月8日 20時

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