検索窓
今日:11 hit、昨日:9 hit、合計:813 hit

繋がる線 ページ24

獪岳を慈悟郎の家に預けて暫く、上弦の壱はとんと気配を消していた。それを手放しには喜べない。気配がないということは、足取りが掴めずどこにいるかわからないことと同義だ。
「ごめんください!」
「はーい」
居間から玄関へ走り、引戸を思い切り引いた。目付きの鋭い可愛い顔が見える。
「玄弥くん、久しぶり」
「お久しぶりです。お元気でしたか?」
「継子が心の療養中でちょっとさみしい」
「獪岳さんが…?どうかされたんですか?」
上弦の壱にもしかしたら衆道的な意味で狙われてるかもしれないので精神が摩耗したと説明すると玄弥もぶるりと身を震わせてからその表情を冷たいものにした。
「それ、とんでもなく気持ち悪いですね」
「ああ、全く許しがたいよ」
獪岳とわりと馬が合った玄弥は、少し年上の友人である獪岳に懐いていた。だから、上弦の壱を去勢してやると意気込んだ。
「さて、稽古を始めようか」
その特異体質により相手に近寄る必要のある玄弥は徒手で相手に渡り合う為に、速さのAと重さの悲鳴嶼が稽古をつけていた。
「うん、前より良くなってる。この調子だね」
「…っありがとう、ございます…」
荒く息をする玄弥に竹筒に入れた水を差し出した。
「ところで、玄弥くんはさ、なんか大きな任務って行ったことある?」
「いえ、ありませんけど、今度刀鍛冶の里へ行くことになりました」
「…そ」
炎柱は生き残り、音柱も五体満足。そして何より、愛しい継子が人間のまま。僅かな違和感を繋いでいると、記憶が戻る直前特有の頭痛の前兆が来た。すかさず呼吸を深くして、痛みに備える。
「ぅ…」
背を丸め、小さく呻く。鼓動に合わせて締め付けられるような感覚が頭にきつくある。
「紫雷さん?!」
大丈夫だ、ということを表すために掌を前に出した。的外れだが、背中を擦ってくれる大きな掌。玄弥の優しさがしみた。
「…ありがとう、もう大丈夫」
「どういたしまして。紫雷さん、頭痛はよくあるんですか?」
「たまにね。でも、鬼狩りに支障はないから大丈夫。わざわざ来てもらったのに悪いけど、ちょっと休ませてね」
息を吐いて、顎に手を当てて尺を取るように動かした。記憶が正しければ、煉獄とカナエはすでに死亡し、宇髄は片手を失い、獪岳は鬼になるはずだ。原作は、どこにもない。Aの掌中にあるのは、上弦の情報。陸と参は先日討たれ、今居るのは壱、弐、肆、伍。名前も、特徴も知っている。
 Aは玄弥の方を向いた。

茶化すような忠告→←雷獣と義足の元柱



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
設定タグ:鬼滅の刃 , 獪岳
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2022年8月8日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。