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生還という快挙 ページ22

Aが上弦の壱と対峙して重傷を負いながらも生還したという話は瞬く間に伝わった。見舞いに来た悲鳴嶼が、生きていてくれて良かった、と涙を流す。
「うん…でも、とても悔しい。生還できただけ良かっただろと言われるだろうけど、殺したかった。あの鬼、獪岳を鬼にしようとしていたから」
許さない。殺す。とAは執着の色を載せて呟いた。握られた掛け布団に皺が寄る。
「あの鬼も、鬼舞辻も地獄に送ってやる」
「それよりも、まずは傷を癒すことが先だ。獪岳もお前を心配している」
その証拠、と言わんばかりにひょっこりと獪岳が顔を出していた。
「師範、怪我のお加減はどうですか?」
「あともう少しで抜糸。治療が終わったら、また稽古しないとね」
「そうですか。…師範は莫迦ですか?」
莫迦、と言われて、困惑した。そのAの表情を見て、獪岳は溜め息を吐く。
「どうして俺を逃がそうとしたんです?俺はそんなに頼りないですか?」
「違う」
獪岳の元へ立ち上がって歩いていき少し高い位置にある頬を両側から挟んだ。
「君に、生きていてほしかったんだ。君はもうすぐ私に追い付いて、追い抜かすだろうから。
…あ、まずい、クラっと来た」
「師範!」
「A、寝ていなさい」
Aが立ち眩みを覚えたと悟った悲鳴嶼はAを子供のように抱えて布団に寝かせた。
「怪我人が動き回るんじゃない」
「分かった。じっとしとく」
「本当に分かってます?」
「信用ないな…」
がしり、と肩に大きな手が置かれた。悲鳴嶼の盲いた目がAの眉間に焦点を合わせている。
「お前は一人で抱えすぎる上に、自己犠牲的すぎる。心配だ」
「そうですよ、怪我だらけじゃないですか」
先日の大怪我。その他にも沢山庇って怪我をしてたじゃないですか。この際だから言いますけど教える側が教えられない状態になってどうするんです。と理詰めに言われてAは言葉に詰まった。
「…心配したんですからね、莫迦師範」
「ごめん」
分かったんならいいんです、と言う獪岳にAは爆弾発言をした。
「獪岳、暫くは私からあんまり離れないようにしてね。あの上弦の壱、性犯罪者みたいな目つきしてた…ひょっとしたら、その、衆道的な意味で君を狙ってるかも知れないから…」
獪岳は震え出す。鬼殺隊最強と鬼殺隊最速の袖をぎゅっと握った。
「師範…悲鳴嶼さん…先生んとこ行きたい」
「桑島様だよね、分かった」
Aは上弦の壱と今度会ったらブツを潰すと密かに決意した。

雷獣と義足の元柱→←壱との戦闘



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作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2022年8月8日 20時

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