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バックドラフト ページ16

煉獄の弟、千寿郎が淹れてくれた茶を啜りながら情報を整理する。煉獄杏寿郎は朝遅くまで死ななかったから解けた、という考えが出た。その時一抹の不穏な気配が頭に巻き付く。
「…う、ぁ?」
頭が割れそうに痛んでAは頭を抱えた。なんとか湯呑みを盆に置く。
「師範!?」
継子の慌てる声が聞こえ、刺激を遮る様に羽織が被せられた。脳裏を過るのは、派手な髪色の、目に上弦参と刻まれた鬼に鳩尾を貫かれた、血を吐く煉獄の姿。
「…大丈夫だよ、ありがとう獪岳」
Aはぱさりと被せられた羽織を取った。その顔色はまだ悪い。
「ありがとうございました。大変参考になりました」
「ああ。…体調は大丈夫か?」
眉尻を下げて問う彼にAは頭を深々と下げた。
「ええ。もう平気です。ご心配痛み入ります」
「師範、本当に無茶はしないでくださいね」
「分かったよ」
それでは、と簡略化した挨拶をして、Aは獪岳と共に邸に帰った。

 道中、Aは隣の継子が舌打ちするのを聞いた。それと同時に汚い高音も聞こえる。
「何でアンタがここにいんの!?」
「師範の付き添い。文句あんのかカス」
かわいらしい顔の少年がタンポポのような髪を振り乱して叫ぶ様は中々にえげつない。
「あっ、あなたが鳴柱様ですか!?俺、我妻善逸です!」
「ご丁寧にどうも。鳴柱、紫雷Aです」
「噂で聞くより悪い人じゃない…」
獪岳がバカにしたように鼻で笑う。
「師範がそんな噂のようなことするわけねぇだろカス」
「善逸!探したぞ!」
第三者が入ってきた。確か、柱合会議で見た竈門炭治郎という少年だとAは思い出した。
「…あの時の」
「鳴柱、紫雷Aです」
すん、と炭治郎が鼻をならして首を傾げた。
「どうして悪い人じゃないのに柱の人は紫雷さんのことを嫌う人が多いんだろう…」
「権八郎!紋逸!勝手にふらふらすんじゃねぇよ!…あ?」
猪の被り物をした少年がAを指差す。
「お前、俺と勝負しろ!」
「うわぁあ!すみません!ほんっとにすみません!こいつ、嘴平伊之助っていって、悪いやつじゃないんですけど!」
Aは少し目を瞬かせてからくふくふ笑った。
「気にしていませんよ。元気なのは良いことですから」
「師範、あまり甘やかさないでください」
「甘やかす筆頭が何言ってるのさ」
「兄貴が…甘やかす筆頭…?」
理解できないものを見た目で獪岳を見る善逸。収拾がつかない気配を察知してAは獪岳を引きずって場を退散した。

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作者名:契 ゐと(元 いときち丸) | 作成日時:2022年8月8日 20時

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