【ジョジョ】いつか願ったその言葉 2

第88話：とある兄弟　4 ページ39

〈side 康一〉

…そういう事情があったのか……。

そりゃあ、ぼくはこの人に殺されかけたりもしたけれど、なんだか可哀想になってきたぞ。

その時、お父さんを蹴りつけているあの男の人を、仗助くんが止めに入った。



仗助「おい！そこまでにしとけよ！」

???「この〈弓と矢〉は渡すわけにはいかねぇ！絶対にな！」



男の人は怖い顔で叫んで、手に持つ〈弓と矢〉をと握りしめる。

ぼくも、仗助くんがあの〈弓と矢〉をへし折るつもりなのかと思ったんだけど、意外にもそれは間違いだった。




仗助「勘違いするなよ。その弓と矢は後だ。気になるのはこの箱でよ！」




あの男の人のお父さんが顔を突っ込んでいたガラクタ箱に、仗助くんのスタンド〈クレイジー・ダイヤモンド〉が拳を叩き込んだ。

彼のスタンドは「壊れたものを直す」能力だ。



仗助「ドラァッ！」



彼のスタンドが殴ったことで、ガラクタ箱はみるみる直っていく。けれどそれだけじゃなかった。

箱の中に入っていた数枚の紙切れも、淡く発光し始めたのだ。

…男の人が目を見開いた。




康一「…ー写真だ！」




輝いた紙切れはどんどん修復されていって、ひとつの長方形を為した。

一枚の写真となったそれを目にしたことで、男の人のお父さんがピクリと反応を示す。


そして、写真を抱き抱えて大泣きし始めてしまった。




康一「家族の写真…意味があったんだよ！十年間繰り返してたこの動作には、意味があったんだよ！

お父さんは、当時の息子達の写真を探してたんだ！

今のことはわからないかもしれない。でも、彼の心の底には思い出があるんだよ！昔の思い出が！」




…あっ！つ、つい勝手にしゃべっちゃったぞ……。

大丈夫かな、殺されたりしないだろうか…？チラリとあの男の人の方を見てみる。



???「………。」



彼は片手で〈弓と矢〉を握りしめたまま、うつむいてお父さんを見つめていた。



ーカタン



康一「ん？」



小さな音が聞こえてきて、思わず後ろを振り返る。

…げえっ！あ…あの制服は、最初にぼくを攻撃してきた人じゃないか！

お…億泰さん、だっけ……？
入ってこないで、部屋の外でただじっとしてるぞ。




仗助「…殺すスタンド使いよりよ。治すスタンド使いを探すっつーなら、手伝ってもいいぜ。」

???「ッ！」

仗助「けど、その〈弓と矢〉は渡しなよ。ブチ折っからよ！」




億泰さんのお兄さんは、グッと唇を噛んでいた。彼が家族思いの人だってことだけは間違いない。

これはもしかして、和解できるんじゃないかな……？

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