【ジョジョ】いつか願ったその言葉 2

第82話 ページ33

〈side 悠〉

お互いにペコリとお辞儀をしたのち、典明さんは至って普通に去っていった。

…つまり、昨日のことは無しにしていいってことだろうか？むしろ彼がそれを望んでいるのかな？

典明さんは何を考えてるの？




『…まだ、友達でいていいってこと……？』




考えてもわからなかった。

カップの能力で無理矢理聞き出してもいいけど、それは少しやり過ぎな気もする。

潔く忘れるとしよう。お互いにそれでいいんだから、無理に踏み切る必要はない。

……そうだよね？


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『ただいま。』


家に帰ると、さっそくこちらをにらんでくる男の子がいる。もちろんマニッシュくんだ。

ジトッとした視線をスルーしていれば、そのうちマニッシュくんは近くにいた億泰くんに耳打ちを始めた。




億泰「悠さぁん、マニッシュがよォ〜、カレシは出来たか聞けって言ってたぜ。」

マニ「わ！ばかやろ、余計なことまで言うなよ！」




なんだ、昨日の私がウジウジしてたから、気づかってくれてるのかな？弟らしくなってきたじゃないか。

特に見栄を張る必要もないので、ありのままの答えを返す。



『そんなのいないよ〜。』

マニ「はぁん⁉出来てねーだとぉ⁉何やってんだ、あの馬鹿野郎っ」



苛立たしげにわめくマニッシュくんだが、直後にハッとしたようにニンマリした笑みを浮かべた。

「いや、これで邪魔する必要もねえな」とかなんとかつぶやいている。何のことだろう……？




『ねえ億泰くん、二人が高校生になって、私たちと別に住むようになったらさ。一度訪ねてみてもいい？』

億泰「兄貴に聞かなきゃあわかんねえけど、悠さんだったら兄貴だって出迎えるんじゃないかなァ〜。」

『お、それは嬉しいなぁ。』




洗い物をしながら雑談をしていれば、話の話題となっていた形兆くんが部屋に入ってきた。

お風呂上がりのはずなのに、なんだか疲れているような顔をしている。



形兆「いいぜ、アンタなら。」



話を聞いていたらしい彼は、髪の毛を拭きながら答えてくれた。




形兆「…アンタなら、俺たちのことも理解してくれそうだ。表面上だがな。」

『表面上かぁ、じゃあ二人に認めてもらえるように頑張らないと。』




几帳面らしくキッチリとパジャマを着込んだ形兆くんは、どこか遠くを見つめている。

鋭い視線でそれを射抜くようにしながら、彼はボソッとつぶやいたのだった。




形兆「…五年なんて、どうせあっという間だ。」

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