第64話 ページ15
〈side 悠〉
今さらになって恐ろしくなってきた。
『…典明さんはもう、二度とベッドから降りられないって言われてたんですよ。
それをスタンドで無理やり動かすなんて……。』
注意したつもりなのだが、当の典明さんは勝気に微笑んでいる。
おおかた、「これならいつでも動ける」だとか考えているんだろう。いい加減にして欲しいんだけど。
『もー、前はもっと思慮深くてクールだったじゃないですか。どうしてこんなに突発的になっちゃったんです?』
花京院「僕は昔からこうですよ。あなたの前では見せてなかっただけで。」
『…そうだ、未成年運転とかしてましたもんね…。』
典明さんは恥ずかしそうに照れ笑いしていた。
本当にびっくりしたんだから。突然訪ねてきてくれたと思ったら、具合が悪くなってしまったんだもの。
そんな調子で会話を続けていれば、かまびすしいサイレンの音が聞こえてきた。
花京院「もうおしまいか……。もう少し話していたかったんだけどな。」
『元気になったらまたお話しましょう?とにかく今は早く回復してください。』
バツが悪そうに彼は私を見上げている。
マニッシュくんが開けてきた玄関から救急隊員さん達が入ってきてくれ、典明さんを運び出した。
…まったく、一時はどうなることかと思ったぞ。
花京院「ああ、そうだ。悠さん、承太郎から伝言があったんでした。」
その言葉に、思わずギクリと足を止める。
や…やっぱり怒られるのかな…。
前に承太郎さんと電話をしていた時も、ンドゥールさんに構われていたら、ひどく怒ってしまったことがあったし。
花京院「確か、
『弓と矢の研究は一時的だが中止してくれ。何かおかしなことに巻き込まれる可能性があるからだ。
また頼みたいことがあれば連絡する。これ以上、お前は首を突っ込んでくれなくていい』…だったかな。」
あれ?怒ってないんだ!
〈弓と矢〉というのは、承太郎さんとポルナレフさんが協力して調べていた不思議なチカラを持つ道具だ。
ひょんなことから私も一緒に調べることになったけど、あれはかなりの危険因子でもある。
花京院「〈弓と矢〉というのは何のことですか?僕にも後々協力してほしい、なんて言われたんですが。」
『えっ、そうなんですか。アヴドゥルさんにも声をかけてたみたいだし、もしかしたら全員集合かなぁ。』
…ポルナレフさんの行方が明らかになれば、だけど。
そこで救急隊員さんからのおとがめが入り、ついに典明さんは救急車で運ばれていったのだった。
なんだったんだ、もう。
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キョウべえ(プロフ) - ピーカンパイさん» うるさくなんかないですよーっ、いつも嬉しいです!原作の花京院への罪悪感と共に書きました。すまない……。いつもありがとうございます! (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - 姉御さんさん» いつもありがとうございます!嬉しいこと言ってくれちゃって〜!です!暗チ…もっと登場させたいです…。ギアッチョの出番なんて無理矢理ねじ込みました笑 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - ゆゆさん» いつもありがとうございます!どうか幼い時の彼にも幸せに生きていてほしいという欲望の賜物であります……! (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
キョウべえ(プロフ) - Toyさん» いつもありがとうございます!暗チは…本当に素晴らしいですよね……!梅雨明けで毎日暑いですけど、お互いに生き延びましょう…。 (2020年8月13日 5時) (レス) id: f69dbdccac (このIDを非表示/違反報告)
ピーカンパイ(プロフ) - 今現在私は絶滅危惧種になりそうです(?) (2020年8月11日 1時) (レス) id: e408f95724 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キョウべえ | 作成日時:2020年8月8日 6時