試験官ごっこ ページ10
イルミ――ギタラクルが前方集団にいることを知ってから、何となくAはゴン、キルア、クラピカ、レオリオの四人組……途中年少の二人は前へ抜けていったので実質後者二人、の近くを走っていた。
レオリオが折れかけて恥を捨てたり、階段の途中で受験動機を語り始めたり(流れ弾が飛んできたので正直に依頼だと答えた)、なかなか面白かった。
そして――出口。
無情に閉まるシャッターを背中に、Aは目の前に広がるヌメーレ湿原を見渡していた。
サトツ曰く「騙されると死にますよ」。何とまあギスギスした大自然があったもんである。
「嘘だ! そいつは嘘をついている!」
なるほどこういうのに騙されて死ぬわけね、とAは大きく頷いた。
本当に騙されて騒ぐ人たち――レオリオもその一員だった――を内心げらげら笑いながら見ていると、何とヒソカがさっくり解決してしまった。試験官に攻撃するチャンスだと思ったに違いない。
何があっても試験は続く。先導するサトツが躊躇いなく霧渦巻く湿原へ足を踏み出す。
地下道からの出口付近にだけ敷かれたタイルの上で二、三歩助走して、Aは走り出したヒソカの肩に飛び乗った。
「ちょっと、重いんだけど♠」
「乗せてよ。脚が汚れるんだもん」
「ボクの服は破けそうだよ?」
「大丈夫、乗ってる間は誤魔化してあげる」
そうは言ってもヒソカの体幹は少しもブレない。Aもまた同じ。
肩の前に脚を垂らして、爪を立てるようにしてしがみつく。この誤魔化すというのは≪
「キミもやるかい? 試験官ごっこ♣」
「何それ」
「一次試験がダルいからさ♦」
Aは少し考えて首を傾げた。いまいち要領を得ないが、殺したくて殺したくてうずうずしているのだろう、ということは察した。
「……試験官になる気はないけど、余りをわたしにくれるなら」
「決まりだね♥」
暫くのち。
ヒソカがトランプを投げ放つのと同時に、Aは≪
ヒソカの肩を蹴って跳躍。前の男の首を踏み折り、崩れ落ちる身体を足場にさらに跳ぶ。
人々の肩の上を駆けるようにして、Aは一度も足を地面につけることなく受験者を始末して回る。
一息ついたころには、集団一つを完全に孤立させることに成功していた。
43人がお気に入り
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
この作品が参加のイベント ( イベント作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時