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投擲はトランプをメインウェポンにするヒソカに利あり、逃走・回避は三次元で行えるAに利あり。
つまり――
もう曲刀が風を切る音を何千回と聞いている。円を使わなくても――≪
Aは篝火の一本を盾にする。
大きく後ろにステップ。軽く跳んだ足の下を刃が通り過ぎる。
次の瞬間強引に着地して身を屈める。高い音と共に、たぶん髪の毛か数本持っていかれた。
「枝毛が増える!!」
「ふーん♣」
当然ヒソカは聞いていない。左手の曲刀を大きく弧を描くように投擲、右手で受け取った刀は持ったまま――
――来る。
背後、上下に重なって風切り音が二つ。間をすり抜けるのは恐らく無理。伏せたままではヒソカに斬られる。跳ぶには距離と時間が足りない。
「と、言うとでも思ったか――!」
ヒソカが疾駆する。Aは寸分の狂いもなく真上に跳躍する。背後からの曲刀を蹴り落として回収を阻害、最高到達点はおよそ六メートル。
ヒソカは疾走の勢いを緩めないまま右手の曲刀を投げ放った。走り出してからコンマ三秒、間合いを外れたと悟ってからの判断力は流石のもの。
空中にいる間にほぼ真横、右手から刀の気配。ついでに今投げられた分も斜め下から迫る。なるほど読み通りということか。
彼女は空中で猫のように身体を捻る。二本の斬撃の間をすり抜けて着地、そのバネで疾走開始。
距離を取るのではなく詰める一手。ヒソカは反転して再びダッシュ、途中受け止めた曲刀を間髪入れず再投擲。これで無手になったと思ったら床に落ちていた二本が空いた両手にすっぽり収まった。≪
だがそれで逃げられるとは二人とも思っていない。走力が違う。
Aの爪がヒソカの背中に肉薄する。
「……っ≪
そして直線運動で戻ってきた曲刀もまた彼女に肉薄した。
服を切り裂かれながら上体を前に倒して回避。頭突きが出来たら最高だったがギリギリ間合いの外。
ヒソカを攻撃するのは取り止め。横に滑って振り返りざまの斬撃を避ける。
加速は二歩、トップスピードで五歩。今度こそ大きく――広間の半径ほども距離を取る。
ヒソカは本気ではない。Aが全力を出さないことがわかっているから。
だがこんな調子だからデッドオアライブなダンスが永遠に終わりを見ないのである。
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海野(プロフ) - sakuさん» そのとおりですね。指摘ありがとうございます、記述を訂正しました。 (2019年4月9日 8時) (レス) id: 542ac62a81 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - すみません。ページ12で『白日の詐欺師』にも隠は効くっていうの、そもそもの能力発動条件をクリア出来てないんじゃないでしょうか?纏以外使えないという条件でしたよね?間違ってたらすみません! (2019年4月7日 12時) (レス) id: 7af2b9ccfb (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - sakuさん» コメントありがとうございます。心外ピエロの作者と個人的に交流があるのですが、sakuさんがどちらにもコメントをくださっていてびっくりだねという話をちょうどしておりました。いいですよね。続編も続けられるよう頑張ります! (2019年2月3日 8時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
saku(プロフ) - 心外ピエロ私もよんでるんですが…いいですよね!あと、更新お疲れ様です。相変わらずとても面白かったです。 (2019年2月2日 22時) (レス) id: ee214ae639 (このIDを非表示/違反報告)
海野(プロフ) - 操菜 荘椏さん» コメントありがとうございます。これからも頑張ります。 (2019年2月2日 19時) (レス) id: 2600401e00 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海野 | 作成日時:2019年1月16日 13時