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「A、さっき先輩を振ったとき、なんて言った?」
やはり砕けた様子で、司会者が問いかけた。
「ごめんなさい?」
「もう1個」
「もう1個…?あ、好きな人がいるから、」
「正解!!!」
クイズ番組のラストチャンスの如く、司会者が嬉しそうに叫んだ。
そこまで聞いてAは自分の置かれた状況に気がついたらしい。顔を真っ赤にして、陸上部並の身の軽さでその場から逃げようとするAを、司会者が引き止めた。
俺も察しがついた。おそらくAの好きな人を舞台上で暴こうとしているのだ。皆が聞いている中でなんて、可哀想なこと極まりない。知りたければ身内でやればいいものを。
「やだやだやだやだ!!!」
ミスの肩書きなど忘れ、女を捨てて全力で逃げようとするAを司会者が羽交い締めにする。司会者強いな。
「やだじゃない!」
「嫌に決まってんじゃん!!!」
正直、俺的には聞きたくない。好きな人がいるのもさっき知ったばかりだが、そいつの名前なんて知ってしまったら、これからどうAと接していいのかわからない。普通に接すればいいのだろうけど、俺にポーカーフェイスでそんな事が出来るのだろうか。ましてそいつが俺の知り合いであれば、と考えるとゾッとする。
Aと楽しく話していたいのに、聞いてしまえばきっと、Aと話す度にそいつの顔がチラつくのだろう。
そもそも仲良くしているというだけで羨ましがられるのだから、他の人からすれば贅沢な悩みなのだろうが。
そう言うとかなりガチで狙っているかのように聞こえるが、あながち間違ってはいない。否、いなかった。好きな人がいると聞くまでは。村人Cだって姫と出来るだけお近づきになりたかったのだ。
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いりの。(プロフ) - 凄く素敵で好きなストーリーでした。今後の二人も気になるところです 笑 これからも応援しています。 (2020年6月23日 0時) (レス) id: 4a9fe01d6b (このIDを非表示/違反報告)
さくの(プロフ) - 白城あろさん» コメントありがとうございます!白城あろさんの作品いくつか読ませていただいてます…!いえいえ、そんな何度も読むような物では(汗)(汗) 今後もぜひよろしくお願いします! (2017年9月5日 14時) (レス) id: 916deec87a (このIDを非表示/違反報告)
白城あろ(プロフ) - コメント失礼します。本当にこの作品素敵で何回も読み返しています…!これからも応援させていただきます! (2017年9月5日 8時) (レス) id: 411fdf32c4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - さくのさん» 当たり前だ!!!さくのちゃんこそ伏見臣大好きbotに改名しよ?? (2017年9月3日 23時) (レス) id: a8d5a25739 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - さくのさん» 読んで下さったんですか!?ありがとうございます光栄です… !花吐く蕾も拝見させて頂いていました! (2017年8月30日 12時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくの | 作者ホームページ:https://touch.pixiv.net/member.php?id=16336410
作成日時:2017年8月28日 18時