4 ページ5
▷▶▷
「えー、これで男子の部は終わりになります!」
そう司会者が叫び、流れるように女子の部が始まった。女子はエントリーが少ないから、数分しかかからないであろう。ああやっと仕事が終わる。
女子の部は、Aに集中砲火だった男子と違い相手がバラバラ。男子は顔を見て女子は内面を見る、とはよく言ったものだと思う。かく言う俺も、Aが好きな単純な男子の1人なのだが。舞台袖をちらりと見ると、Aはもう撤収したようだった。
「これで女子の部も終了になるんですが、」
またぼけっとしていた俺の意識を引き戻したのは、司会者の大きな声だった。あぁ、やっと労働が終わる。この後は伏見さん、そして学園祭を見に来た数名の団員と合流してキャンパスを回るつもりだ。
ええと、ライトの電源はどこだっけ。照明係とはいえ基本ライトは付けっぱなしで、少し当てる位置を動かすだけのこの仕事は本当につまらなかった。
「皆さん、もう一つ大事なこと、ありますよね〜!?」
突然大声をあげた司会者に、うぉぉー!と観客から野太い完成が上がる。
は、まだあんのかよ。俺は手を伸ばしかけていたスポットライトのスイッチから手を引っ込めた。俺が持っている実行委員用のリストはここで終わりになっているから、急遽何か追加されたのかもしれない。
何だろう。教授の飛び入り参戦とかであれば面白いのだけれど。
「では、どうぞ!!!」
司会者が下手側に手を広げると、Aが2、3歩よろめきながら現れた。どうやら背中を思い切り押されたらしい。
「へ?」
何が起きたのかわからない、という様子で袖へ戻ろうとするAにマイクが押し付けられ、司会者に腕を引かれながら舞台中央へ連れてこられる。俺も何が起きたのかわからない。
「え、何これ?」
司会者と舞台袖の実行委員をキョロキョロと交互に見るAに、可愛い〜!とまた歓声が上がった。
「何これ?」
もう1度、Aが司会者に向けて呟いた。ちなみに司会者はAの友達らしく、かなり砕けた様子でAの腕を引き寄せている。
しばらくキョロキョロとしたAは、俺の方に目を向けた。
なにこれ。口パクでそう問われる。
俺もわからない。そういう意味を込めて俺は首を捻った。
186人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いりの。(プロフ) - 凄く素敵で好きなストーリーでした。今後の二人も気になるところです 笑 これからも応援しています。 (2020年6月23日 0時) (レス) id: 4a9fe01d6b (このIDを非表示/違反報告)
さくの(プロフ) - 白城あろさん» コメントありがとうございます!白城あろさんの作品いくつか読ませていただいてます…!いえいえ、そんな何度も読むような物では(汗)(汗) 今後もぜひよろしくお願いします! (2017年9月5日 14時) (レス) id: 916deec87a (このIDを非表示/違反報告)
白城あろ(プロフ) - コメント失礼します。本当にこの作品素敵で何回も読み返しています…!これからも応援させていただきます! (2017年9月5日 8時) (レス) id: 411fdf32c4 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - さくのさん» 当たり前だ!!!さくのちゃんこそ伏見臣大好きbotに改名しよ?? (2017年9月3日 23時) (レス) id: a8d5a25739 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - さくのさん» 読んで下さったんですか!?ありがとうございます光栄です… !花吐く蕾も拝見させて頂いていました! (2017年8月30日 12時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さくの | 作者ホームページ:https://touch.pixiv.net/member.php?id=16336410
作成日時:2017年8月28日 18時