11 ページ11
次の週、私は寮の前に立っていた。というのは、お礼のお菓子くらい渡しておかないと失礼かなと思ったからだ。人間界のスイーツをかき集めている友達に話を聞いて、いま人気だというドーナツ屋さんに並んできた。
羽根が縮むと嫌だから、すぐに帰ろう。
そっとドアの前に手紙付きの袋を置いて、立ち去ろうと思った矢先、私を大きな影が捉えた。
｢え｣
｢あっ｣
私の後ろに立っていたのは、この1週間忘れられなかった人。眠りにつこうとする度に顔が浮かんでしまったその人だった。
｢臣、さん｣
｢A｣
また会えるとは思っていなかった。思わず顔がにやけて、へへっと笑う。
｢これ、この間のお礼です｣
袋を差し出すと、臣さんは中身を覗いて、目を見開いた。
｢あ、これ！昨日高校生組が食べたそうにしてた店のだ…！丁度よかった、ありがとう｣
｢いえ、じゃあ失礼します…！｣
｢あ、待った｣
早く帰らないと。そう思ってサッとその場を去ろうとした私の体は、腕を掴まれたことでぐいっと引き戻された。
｢お茶、していかないか｣
彼の顔を見ると、綺麗な黄色い瞳が私を見下ろしている。
｢…うぁ、｣
その瞳に吸い込まれそうで、言葉にならない声が出た。断りたくない、一緒にお茶したい、そう口に出してしまいそうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 240人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さくの(プロフ) - よっしー。さん» コメントありがとうございます！臣くん好きな方に褒めていただけると嬉しいです…！ぜひこれからも応援いただければなと思います！！ (2017年9月23日 22時) (
レス) id: 80f0c2d950 (このIDを非表示/違反報告)
よっしー。(プロフ) - 完結おめでとうございます。そして、連載お疲れ様でした。最初から最後までドキドキが止まりませんでした…元々大好きな臣くんですが作者様のお陰でもっともっと大好きになりました…次のデューイの作品も応援してます！ (2017年9月16日 19時) (レス) id: 49d7ddea59 (このIDを非表示/違反報告)
さくの(プロフ) - きゃっとふぃっしゅさん» コメント見逃していて遅くなりました！申し訳ないです(汗) お読みくださりありがとうございます！更新がまちまちですがぜひこれからも応援してくださると嬉しいです！ (2017年8月29日 18時) (レス) id: 57ec88845f (このIDを非表示/違反報告)
きゃっとふぃっしゅ - も、やばいです！とにかく胸がぎゅーってなってどきどきしてはわはわぁってなります！！！(語彙力ゥ)続きが楽しみです！！！！！ (2017年8月13日 2時) (レス) id: 4216e45363 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこしゅー。(プロフ) - さくのさん» 2万円！？茅ヶ崎至お金搾り取ってくるやん怖い……(涙)やっぱ最推しに貢ぐのが一番だよね！！ (2017年7月22日 19時) (レス) id: a8d5a25739 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくの | 作者ホームページ：https://touch.pixiv.net/member.php?id=16336410
作成日時：2017年6月29日 9時
