My Fancy ！

7 ページ7

.









「……あれっ！？お疲れ様です！」








一人カタカタとキーボードを鳴らし、資料をめくっていると

オフィスの入り口から最近よく聞く煩い声。








『あ、お疲れ様！こんな時間にどうしたの？直帰だったんじゃないの？』


「いやいや、こっちのセリフっすよ！Aさんこそこんな時間まで何してんすか！？」


『……私はどう見たって残業でしょ』


「またっすか〜？って、………え、……これ明日の？今から仕上げるんすか？」


『明日のだからね』


「マジっすか！！俺手伝います！」


『ううん、いいの。ありがとうね？』


「俺もうフリーなんで大丈夫です！！」


『いや、ほんとにいいの。全部把握したいから一人で大丈夫』








ただでさえお腹が空いて疲れている。

一人の時間を邪魔されるのは嫌だった。



"ありがとうね？"ってニッコリ笑ってあげたのに

この人ときたら全然空気を読んでくれない。



放っておいてよ！って言いたいのを我慢して我慢して

"大丈夫"ってもう一度、ニッコリ笑ってあげたのに…









「…全然大丈夫じゃないでしょ？」


『……ん？』


「たまに思うけどさ…Aさん、もっと人のこと頼った方がいいですよ？」









まるで呆れたような、哀れむような…

そんな顔で私を見るから

見下されている気がして頭にきた。








.








『………ねえ、なんなの？私に喧嘩売ってんの？』


「え！！っ、いやいやいや！！そんな…」


『じゃあどういう意味？なに？その顔。これくらいの仕事、私にこなせないみたいに言わないでよ！！』


「……っ、」








.








あ、まただ。

また心のうちを見せてしまった。




大声出すなんて嫌いなのに

そんなの私じゃないのに

何をムキになってるんだろう。




らしくない。

本当にらしくない。

私、どうかしてる。




一度俯いてため息を吐いた。









.

8→←6

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す