My Fancy ！

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「へぇー。Aがそんなに連れ回すなんて珍しいね」


『そうかな？』


「そうでしょ。俺も会ってみたいな〜岸くん。」


『ふふっ…なんだろな〜、とにかくウケがいいんだよね〜。うん、あれは才能だね！』


「…ふーん。」


『まあ数字には弱いんだけど、岸くんがいると不思議と周りの空気が良くてさ、だから会議に連れ…っ、』







唇が重なって、そのままベッドに沈められる。







「もういいよ、岸くんは。時間ないんだから…な？」


『……うん。』









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彼に出会ったのはお得意先との会食

よくある話。




色気があって見るからに出来るオーラを纏った人で

左の薬指には細いシルバーリングがはめられていて

この人、仕事出来るんだろうなって思ったから




大人で賢くて、すごく冷めた目をしていて…

だから、私にはもってこいの相手。




今日のご飯は美味しかった

辛口のシャンパンが美味しくて

少し飲みすぎたんだと思う

だから、ちょっと気が緩んだんだ









「ッ、…なぁ爪。気をつけて？」








少しだけ、背中に爪を立ててしまったようで

瞬時に彼は遠くなる。








『……ん、ごめんね？最近忙しくてメンテ行けてないの。』




"こうしてるね、"って髪をかき抱いて

また、欲望へと溺れた。









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事が終わればスッと離れてシャワーを浴び、シャツを羽織ってピシッてネクタイを締める。




次はいつ、なんて約束はしない

だけどもう１年は経つ

私にしては長い付き合い

多分、相性がいいから。




余計なことはしないし

美味しいご飯と彼の欲以外に興味はない。

あ、仕事のアドバイスは欲しいけど


もう少しだけ、なんてセリフを吐くこともないし

離れていくスーツに手を伸ばしたこともない。


だから、痕跡を残そうなんてバカなことを考えたことはなかった。




だって私は存在してはいけない存在。

そんなこと分かり切っている。




それが丁度良い。




誰かを縛るようなことはしたくない。

縛られることも然り




愛とか恋とか

そんな感情に流されて生きるなんてありえない




だって、私には関係のない世界だから。









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