金曜日の魔法使い

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.A side






ーカチャ





玄関のドアが締まる音と同時に、その場にペタリと座り込んだ。





『……っ、はぁーー。』




一気に緊張が解けて、力が抜けて、アルコールも回ってきたみたい。




…ほっぺ、痛かったし。夢じゃないよね？

夢じゃないなら……変な魔法にでもかかった？

朝起きたら、あれ？昨日何したっけ？って全部忘れちゃってるのかも。





ぼんやり思い出したら本当に突然、目の前に現れた幼馴染。

目があった瞬間、信じられないくらい心臓が跳ねたのが自分でも分かった。


驚きすぎて変なテンションだったと思う。

ちょっと酔ってたし。


魔法だとしても正気じゃいられなくてその後も飲み続けた。

お酒が入ってなかったらきっと、まともに顔なんて見ていられなかった。





"部屋入ったら連絡してな！心配やから。"




伏し目がちにそう言った廉にドキッとしてしまった。



…あの頃も"早よ家入って"っていつも最後まで見送ってくれてたな。

ふふっ…そういうところ、変わらないんだ。





………、





"また会えるの楽しみ"




チラッと見えた廉のスマホの画面。

ハートマーク付きのメッセージ


　

…彼女かな。


きっと廉は、相変わらずモテるんだろうな。

スーツもすごく似合ってた。

もう制服じゃないんだよね。

ふふっ…そうだよね、廉も大人になったんだから。


あれから時間が経ったんだ。



でも、飲みに誘ってくれたし

また会える？って言ってくれた。



……私のこと、もう嫌いじゃないのかな。

もう許してくれたのかな。



また、友達に戻れるのかな。





だとしたら、嬉しいな。






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