金曜日の魔法使い

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REN side









最悪や。


ばり、ダサいことしてもた。





トボトボと自転車を押して、坂道を登る。

公園の前まで来て、ふと、立ち止まった。





…今からでも引き返す？

A、待ってんねんけど？

とか言いに行く？






…無理、完全に無理。


一回逃げといて、どんな顔して会ったらええねん。






あーーーーだるっ





………。





"廉くんは平気なの？"


平気どころか、なんも、知らん。





"すっごい良い人なんだよ！色々相談乗ってくれたり"


いつかのAの言葉。

さっきのふわってした顔。





…アイツは、知ってたんかな。


Aが相談するんはもう俺じゃないってこと？






いや、まだ行くって決まってないやろ。

妹も行かんのかな？言うてたやん。

それに、Aが俺になんも言わんとか無くない？

俺に黙ってバレエ辞めるとか？…ないない。

俺がなんも知らんとか、そんなん……




そうやん、大丈夫やって。

冷静になれ俺、大丈夫やって！大丈夫……





でも家おるとか…アイツはどういう関係なん？


もしかしてA、………。









………いや、ない。無理。絶対無理。









やっぱ帰ろ。


今日は、無理。








Aに会いたくない。

変なこと考えてしまう。



…お腹いたなって、とか連絡したらええか。



再び歩を進めようと自転車を押した瞬間





「れん、待って！！」




！？




振り返ると、すぐそこに息を切らしたAがいる



『え、なんで、』




考え込んでいたせいか、全然気がつかなかった。







無理、今は絶対無理！







慌てて自転車に跨った


『…ッ、うわっ「待ってってば！！」


ペダルに足をかけるけど、自転車を掴まれる。





『離せ！』


「いやだ！」


『ちょ、マジで無理！』


「なにが！」


『だから無理やって！』


「だからなにがって！」


『なんでもや！離せ！っっっ、しつこいって！！！』


「っ、うわあぁっ！」


『っ！！ごめ、』






自転車を思い切り引っ張ったら

Aがバランスを崩して、横に転んでしまった。









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