My Fancy！-Extra time- 2

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『ちょ、…待って待って、』


「あー…ごめん！！言うてなかってんけど…そやねん、俺の彼女、実はそういう仕事…」


『いや、そこじゃなくて！！』


「……は？」


『Aが言い出しっぺってなに！？』


「……ふはっ。あ〜そっちな！」





廉がいうには午前中、突然Aが

"今日は定時で上がります"宣言をしたらしい。


仕事の鬼、いや相変わらず悪魔と評判のAが

そんなこと言い出したものだから

周りは一瞬ぽかんとなったらしい。





「昼も休憩取らんとすっげー近寄んなオーラで仕事しまくっててさ〜」


『………、』


「よっぽど優太に会いたいんやろなぁー…ってちょっと笑っちゃったよね〜ははっ！」


『……………。』


「……あれ？…優太？？俺の話聞いてる？」





"………なるべく会えるようにするね。"





俺の手をきゅっと握って

切なそうにそう呟いたいつかのA。





あれは…夢じゃなかったんだ。

会いたいのは

俺だけじゃなかったんだ。

なのに……、





『……俺、やっちゃったかも。』


「んぇ？」


『さっきさ、プレゼン終わりのAに会って、
"飯くらいちゃんと食えよ。"…って……怒っちゃった。』


「は？大丈夫やろそんなん……って、え？会ったん？定時の話は？」


『…プレゼン、ダメだったみたいで。』


「…………ガチか。」


『…………がち。』


「……………はぁー。…あー部屋帰りづらっ。」


『…俺、ちょっとコンビニ行ってくるわ』


「え？…あ、おう！」





謝ろう。

何も知らずに怒ってごめんって。

それから、でも無理はすんなって

ちゃんと怒って

出来ることなら、抱きしめたい。





近くのコンビニで、Aの好きなメロンパンと

家でよく飲んでいる鉄分多めの栄養ドリンクを買って

急いで、彼女のオフィスへと向かう。


だけど、見えてきたガラス越しの部屋。


椅子に深く腰掛け腕を組み

にこやかに笑う菊池さんと、その視線の先で

メロンパンを手にして笑う美しい俺の彼女。

デスクの上には、彼女の好きな高いパン屋の紙袋。





『……………。』





無意識に、握った拳から

クシャリと音を鳴らすコンビニの袋。





……最近、すぐに付き纏うこの感情。





劣等感

と

敗北感。









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