48 ページ48
.
「…うるさ。」
俺の今日1日の焦燥感の原因なんて知らないAは
つい出してしまった大きな声に、盛大に眉を顰めて
それから呑気にあくびをしてから目を瞑る。
『ちょ、待って！！ちゃんと教えて！？』
「なに？もー大したことじゃないから早く寝て。」
『いやいや、無理だって！』
「おやすみー。」
『だめだって！なーA！？変ってなんだよ！何された！？はっ！！！なな、な、何か言われた！？』
「もーー煩いって！！……別に何も言われてない。ただ今日は仕事、振られる量が少なくてさぁ…“あとやっとくから定時で帰れよ”、とか言ってたし…。他にもやたらとことあるごとに褒めてくれて…うん、やっぱり変だった。」
『…………。』
おいおい、菊池さん。
もっと策士な人かと思ったら…だいぶ分かりやすいよ
普通にすっげー好感度上げようとしてくんじゃん！
なんて、ちょっと呆気に取られていると
Aはくるりとこちらに向き直し
頬杖をついて話しを続ける。
「今日履いてたスカートもね、"その紫、超俺の好み"とか言ってね、」
『え。それもう着てくの禁止で。』
「えーやだ」
『なんで！！』
「お気に入りだから！」
『…はぁ。…なぁお願い。他にも可愛いのいっぱい持ってるでしょ？』
相変わらず言うことを聞いてくれない彼女。
方肘をついて、Aの前髪を耳にかけつつ
優しく、宥めるようにそう諭した。
「でも優太だって"その色Aに似合うね、可愛いね"…って言ってたよ？だから気に入ってたのに。」
『…んふ。そうなの？』
「そうだよ？ねぇだめ？もう可愛いって思わない？」
『いや、今日も超ーー可愛いなって思ってたよ？』
「よかった！じゃあまた着るねっ」
『おう！…って、……あれ。ちょ、』
「じゃあおやすみゆーたっ」
ちゅ。
『……へへ、おやすみA。』
「…………。」
『…………。』
.
ってーーー
違うじゃん！！
『なぁ！…………、』
…………ははっ。
すぐそばで、穏やかに目を閉じ呼吸しているA。
その安心しっきった寝顔をみていたら
あー俺、なんであんなに焦ってたんだっけ？…って
眠さも相まってもうよくわかんなくなっちゃって
……ま、いっか。寝よ。
目を閉じて、先程の甘い時間を思い出しつつ
頬を緩ませ眠りについた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 962人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「菊池風磨」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
望(プロフ) - はじめまして！完結になってますが、続きがめっちゃ気になります！ (2022年3月29日 23時) (
レス) @page50 id: 2c8d55c3a5 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - おぉ！風磨くんが壁にぶち当たっている！策士かと思いきや初歩的なアピールをする風磨かわいい！それに気付いちゃう岸くんも最高！2人の時間を過ごせたことや、キスでいい気分になっちゃったり主人公ちゃんのペースに引き込まれる岸くん可愛すぎます！ayuhaさん天才！ (2021年3月28日 1時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
ayuha(プロフ) - 涼杜兄妹さん» ご期待に添えてよかった♪風磨くん…当て馬のようになってしまった…だいすきなのに。でもなんか報われない哀愁ある感じがまたカッコいいと思うんですよ。ぐふ。っていう妄想を繰り返してます。あ、だからちっとも甘々に辿りつかないんだw (2021年3月27日 17時) (レス) id: 3d6cda5c80 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - ayuhaさん！このお話読んであちらのお話めっちゃ期待してました！！（笑）久々の甘々展開ありがとうございます！ご褒美をもらえたみたいで尻尾ブンブン振って喜んでます！風磨、岸くんのスイッチ押してくれてありがと！そしてもっと甘々へ導いておくれ！！← (2021年3月27日 10時) (レス) id: a89c13a921 (このIDを非表示/違反報告)
ayuha(プロフ) - ゆうゆうさん» こんにちは！裏話はR18指定なのでリンクは貼れないのですよ…マイページの設定からそういう設定が出来ていれば作品一覧に出てくると思います(^^)一応、大人向けなのでご注意下さいね(^^) (2021年3月25日 9時) (レス) id: 3d6cda5c80 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ayuha
| 作成日時：2020年12月28日 10時
