My Fancy！-Extra time- 2

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"居た堪れない"




この空気の為にあるような言葉。




『ははっ、お前さーそんな気不味い顔すんのやめてくれる！？』


「…いや、俺…ずっと風磨くんは本気やないと思ってたから気付かんくて…、彼女とか普通にいたし、」


『だってそんな本気でいけないでしょ？』


「え？」


『"恋愛なんてくだらない"って言い切ってる女だよ？そんな奴に"好きです！"…とか面と向かって言える？無理だろ？！……岸みたいにガンガンいける方がおかしーんだよ。……はぁ。』


「ふははっ！まぁ…そおっすよね？」


『だからさ、周り固めて？俺があいつの理想になればいいんだろーなー…って。構えてたっつーか…。まぁ諦めたわけじゃないし？岸の次、狙おっかな！部下に先越されるとかちょー不服だけど。ははっ！」


「………。」





9割本気。1割冗談。

永瀬はただ、慰めるように笑うだけで。

それが余計にAと岸の関係性を示しているようで

思い描く"岸の次"なんて空想に過ぎない気がしてきて

後悔が押し寄せる。





"好き"





言葉の端々に幾度となく放ったその言葉に

意味を持たせる勇気はなかった。


他の奴らみたいに冷たくあしらわれるのも

くだらないって笑われるのも


"俺は特別"


その小さな自信とプライドを

捨て切れなくて、崩れてしまうことが怖くて

それ以上彼女に踏み込むことは出来なかった。


そうこうしている間に

Aはあんな顔して笑うようになって

しかもその相手が部下だなんて

俺より役職の低い奴だなんて

ほんと、許せない。


はずなのに……





『……岸って…いい奴なんだよな？』


「うん。めっちゃいい奴っすよ？」


『…そっか。…………………はぁ。』





バカで熱くて煩くて

つまんねーそこらの男だと思っていたのに。


真っ直ぐで

素直で

お人好しで

全然、嫌いになれねーじゃん。


……むかつく。





「まぁー人生ってほんまタイミングですよね。
俺も彼女とあん時あの場所で………んふっ。」


『おい。お前喧嘩売ってる？降ろすよ？』


「あはっ！冗談ですって〜」





色々察した永瀬が空気を軽くしてくれて

少し胸がホッとして、小さく笑った後

また、窓の外を眺めた。





簡単に潰せると思っていたのに

潰されたのは俺の方。





…なぁA。

大分遅くなったけど

今から本気で大事にするって言ったら？

だから次は俺んとこ来てって言ったら？

そしたら俺…まだ間に合う？






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