My Fancy！-Extra time- 2

19 ページ19

FUMA side









……え。どうなってんの。





これ、俺の心の声ね。





昨日、Aはあんな顔して岸の元へ向かったはずなのに

いつも通り、凛とした綺麗な顔で

しかもちゃんとコーヒー片手にすぐ帰ってきて。





「……はいこれ。」


『…………えっ、』


「え。なに？要らないの？」


『……………や、……あざっす。』





当たり前のようにコーヒーを差し出して来やがった。

それも、ちゃんと俺の好きな濃さのやつ。

頭ん中はハテナでいっぱいだし

なにより色々、すっげー拍子抜け。





………あれ。

岸、追いかけてったんじゃないの？

なのに…





『……なんで？』


「なにが？」


『コーヒー。』


「私買いに行くって言いましたけど？」


『……違うよね？』


「何がですか？」


『………や、………なんでもないです。』





…その目でにっこりは絶対だめなやつじゃん。

お決まりの"放っておいて"…ね。

…はぁ。





その後のAは"普通"…で。

新人のフォローもテキパキこなして

完全にいつも通りの仕事モード。

プレゼン資料だって今朝完璧に仕上げてきた。





だから、


…."へ"っつったあの表情も

か細い声も

全部俺の幻想だったの？


なんてどっかでモヤモヤしつつも、


…ま、いいや。昨日のことは忘れよ。


そう思い始めた昼休み。

立ち寄ったカフェルームで聞こえたのは、他でもない

"岸くん"…の噂話で。





「あの子、可愛いもんね〜お似合い！」


「昨日、岸さんあの子のために差し入れ買ってきてあげたんだって！」


「で、朝のあれ？？」


「多分ね！なんかもうラブラブって感じだった！」


「はぁー。いいなー優しいイケメンの彼氏！」


「"Aさんが好き"っていうのはただの噂だったのかな〜」


「Aさんは難攻不落過ぎるでしょー！」


"だって悪魔だよ？"



そう言って笑う女の子達。

で、冒頭の俺の心の中。





…おい岸。

どうなってんの！？

お前、完全にA狙いだったよね！？

なんなの？

ラブラブってなんだよ！


…ま、いっか。

Aとお前はただの上司と部下ってことな！っし！





……じゃあ、

Aの昨日のあの顔は？

マジで見間違いってことでいいの？





『………。』





っあ゛ーー！！！！！





なにこれ。

すっげーモヤモヤする。

すっげーーイライラする！！








.

20→←18

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す