My Fancy！-Extra time- 2

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ーコンコンコン、





「失礼します。」


『よっ！』


「お久しぶりです。」





会社の社長室で会った２年ぶりの彼女は思った通り、

相変わらずの俺好みな綺麗な女で。


仕事ぶりも相変わらずらしく

社長からもかなり評価されていて

俺の下に着かせてって願いもすんなり認められた。


ここまでは全てが順調で

全てが思い通り…だった。





初めて違和感を感じたのは数日後。

初めて、"岸くん"を認識した日。


Aが、鍵の開かないドアの前で

慌てふためくバカな部下の背中を





「ふふっ……そうなの……バカなの。」





なんて、すっげー優しい顔して笑ったから。

だけどその時はまだそこまで深く考えてなくて。


A、アイツに色々手妬いて丸くなったんだなー


って程度にしか見ていなかった。

なのに…





岸「お疲れ様です！」


『おーお疲れ』





すれ違う岸の視線はいつも嬉しそうにAを捉えて





「……お疲れ様。」





岸に向けられるAの視線もどこか柔らかくて





『…でさぁ、次の会議でここの価格帯も…』





妙に胸が騒ついて、急いでAを引き戻す。






……なに、焦ってんだよ。

ただの元部下でしょ？

…あれでしょ。手のかかるわんこ的な？

ちょっと人より目ぇかけてたって程度だって。





『…………。』


「……てことでいいですか？」


『え？』


「いや、"え？"じゃなくて。話聞いてました？」


『……あーうんうん。聞いてました』


「…はぁ。ちゃんと集中してもらえません？」


『はいすみませーん。』





…大丈夫。気のせいだ

変わってなんかいない。

ガンガン仕事振ったって

何食わぬ顔して俺についてくる

いつもの、俺のAじゃん。





だけどこいつもやっぱり人間で。

そりゃあ機嫌も調子も悪くなることもあるわけで

その日は出社するなり精神統一並に深呼吸しだして…





『……大丈夫？』


「え？」


『いや、すっげー深呼吸。…調子悪いなら、』





あーこれ結構きてるわ。

調子乗って働かせすぎた。

流石に休ませないと…って思った側から





「全然。……あ、今日のプレゼンなんだけど」





なんて、さらっと始まる仕事の話。

コイツはほんと強いよなー

って感心しつつ呆れつつ、耳を傾けていると





"プレゼン、上手くいったら今日は定時で上がりますね？"





まさかの、"定時退社"宣言。








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