My Fancy！-Extra time- 2

Shaking emotions ページ1

YOU side









『じゃあそろそろ帰ろ？』


「んぇ！？、もう？」


『うん、ふう、…菊池さんから早速色々と宿題出されてるの』


「まじ！？…なんか明日からすげー忙しくなりそうだね。」


『まぁねー、二週間は接待続きだって。』


「え。ガチ？？」


『その後は本格的に社外会議とかも増えてくるだろうし…当分はバタバタしてるかな〜』


「…待って……会えるよね！？」


『まぁ同じフロアだし？』


「は！？そんなレベル！？……マジかよ。俺、耐えれっかな……。」





そんな話をしながら店を出て、大通りへ向かう夜道を

遠い目をしてため息混じりに歩く優太。


当たり前のように握られている右手。

彩り始めた街路樹と灯の美しい帰り道。


愛しい彼の横顔を眺めていられるこんな時間も

当分はお預けなのか、なんて思うと

やっぱり寂しさと共に申し訳なさも感じて…





『………なるべく会えるようにするね。』





そう自分に言い聞かせるように

繋がる掌をきゅっと握った。





「…………あー、でも…やっぱ大丈夫だわ！」


『え？、………っ、』





不意に、繋がれた右手の甲に

ちゅ、って当てられる柔らかい唇。


驚いて顔を上げると、優しい目をして

私を見つめる優太がいて。





「俺さー、ガッチガチの仕事モードのAも超ー好きなんだよね〜。資料見ながらタイピングしてる時の目の感じとか？ポストイット貼る時の指先とか？まじ綺麗でさ〜…んはっ。」


『……私のこと見過ぎじゃん』


「いやぁ…ついつい目に入っちゃうんだよな〜
へへっ！」


『……はぁ。…そんな風に仕事サボってたなんて。信じらんない！』


「ははっ、ごめんな？……だからさ、無理しなくていいよ？」


『え？』


「当分仕事モードなんでしょ？俺のことは気にしなくていいからな！」


『……うん。』


「あ、でも会いたいは会いたいから24時間連絡待ってんね！」


『じゃあ夜中に何回も電話してストレス発散しーよおっと！』


「おいっ！それ、ただの嫌がらせだよね！？」


『ふふふっ』





そんな風にニコニコ笑ってバイバイして

あれからもう、１ヶ月は経つのかな。





"なるべく会えるように、"……なんて。

誰かを想う柔らかい感情はどこへやら。


仕事モードの鎧を纏った身体は重くて重くて

彼へと繋がる通話ボタンに手は届かない。









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