魅惑のレディにプロポーズ

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A side 『』







「俺は、平野 紫耀です。」




握られた右手。

　

ん？


ひらの、しょう？



『ひらの、しょう…？』


「….はい」



え、誰かに似てるなって思ったけど



え、



『…。』



「…あの、俺のこと、知ってたりって」




『え、あ、はい！


　え、え、あの、テレビの人ですか？』



「はい笑 その、テレビの人だと思います」



『え、本物！？嘘でしょ！？』



咄嗟に手を引っ込めた




「フフッ 嘘じゃないです。」



そう笑うと、少しだけバツが悪そうに話し始めた





「や、そうなりますよね、すみません。

　その、驚かすつもりはなくて。

　でも嘘つくのもどうかな、とか思って、

　なんか、ついほんとのことを…」





…有名人て、簡単に自分の名前も明かせないのか。


プライベートもそんな気遣って生活してるんだ。



なんか、大変だなぁ…



え、行きずりの友達とか、出来ないじゃん






半分酔ってたであろう私は呑気にそんなことを考えてた。




『いやいや、謝らないで！

　ほんとにびっくりしただけだから。


　それに、守秘義務には慣れてるから安心して！』




目の前に突然現れた疲れた顔した有名人の彼を


少し安心させてあげたくて、そう伝えた





「守秘、義務？」




『うん、私、こう見えても結構有名なホテルで働いてるの！




　あ、こう見えて英語とかも出来るんだよ？

　海外研修とかも行ったりするしさー

　意外とちゃんと仕事してんの！』


"ただの飲兵衛じゃないんだよ〜"



そう言うと、彼はホッとしたようにまた笑った。



「へぇー、じゃあ、お言葉に甘えて、今日のことは秘密にしてもらおうかな」



『勿論ですよ！だからさ、』



「？」




『たーくさん飲んで、

　たーくさん笑って、


　元気出して！ ねっ？』







「いや、だから、俺、飲めないんです」



『あ、そうだった笑』





そう笑い合って、私はその後もめちゃめちゃ飲んで





その後の記憶は、無い。









ーーーッ。




寝返りと共に感じた鈍い頭痛



飲み過ぎだ。



あー、また飲み過ぎちゃった、



今日夜勤だし、もう少し寝よ…







…


…。






ガバッ！？！？






目の前に広がったのは、知らない、カーテンと、その奥の知らない景色。









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