検索窓
今日:5 hit、昨日:60 hit、合計:116,833 hit

Luciole<3> ページ10

.
2年ぶりのカナダ

「はぁ……」

我が親とは言え、強引にも程がある

この2日間の俺の慌てぶりを見て

少しは心が痛んでればいいけれど





「ここか」

おばさんに教えてもらったアパートにたどり着く

来てはみたものの、手越は留守らしい

……なんだよ

あいつのときは、俺の帰る時間までリサーチして

お膳立てしてたのに

俺にはそーゆーのないのかよ

心の中で悪態を吐いていると

背後に人の気配がした



「まっすー……?」



一瞬で、時間が止まる

1年ぶりに聞く声

足が震えて動けない



「え……、な、んで……」

「……父さんが会いに行けって。飛行機、取ってくれた」

「そ、う……、そうなんだ……」

「会えてよかった。来たら留守だし
どーしよーかと思ってたとこ」

「ん、ごめん……」

せっかく会えたのに

会いたかったのに

もっとちゃんと話しがしたいのに

向き合うのが怖くて

後ろを振り返ることができない

その時だった

背中にどしんと衝撃が走る

「た、か……」

手越の身体が震えてる

俺を呼ぶ声も震えていて

泣いていることは明らかだった

「ゆうや……!」

絡んでいた腕を解いて、手越を抱きしめる

「タカ……あいたかった……」

涙が勝手に溢れ出す

俺も

俺も、死ぬほど逢いたかったよ







「コーヒーでいい?」

「ありがと」

コーヒーの入ったマグカップを2つ持って

ゆうやが俺の隣に腰掛ける

「……びっくりした」

「そうだよな。ごめん、突然」

「そう、じゃなくて。……笑わない?」

「うん、なに?」

「タカが泣いてる夢を見て……会いに行かなきゃって。そしたら本物がいるから……びっくりしたの」

「笑わない?」

同じ切り返しに、ゆうやの頰が緩む

「なに?」

「父さんからチケットもらう前の日?俺も見た。
お前が会いに来てくれる、夢」

「うっそ」

「ホント」

目を見開いて驚いているゆうやを引き寄せる

すっぽりと腕の中に収まる華奢な身体

温もりは1年前と変わらない

「……ごめんね」

「なにが?」

「なんにも言わずに留学しちゃって」

「いや……俺もごめん。変に意地張って」


ゆうやの髪を撫でていたら、少し身体が離れて目が合った

ふふっと笑い合って、どちらからともなく唇を重ねる

離れ離れの時間を埋めるように

それはだんだんと深くなっていった

Luciole<4>※→←Luciole<2>



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
188人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。