検索窓
今日:7 hit、昨日:19 hit、合計:116,636 hit

sleepless night<1> ページ48

手越side


『……もしもし?』

「あー、あの。おれ、だけど」

『どちら様ですか』

「おい!わかってんだろ?」



あの人のマンション近くを歩きながら
滅多にかけない電話をしている。
俺のことをなんでもわかっているこの人は
どうして自分に電話をしてきたのか
察しているから冷たい態度だ。


『何時だと思ってんの』

「……ごめん」

『じゃ、切るね』

「いやいやいやいや!なんでよ!」

『お前が電話してくるときは碌なことないから』


なんなの、この人。
酷すぎない?
こんなに邪険に扱うなら、出るなよ!
……まぁ、かける俺が悪いんだけどさ。


「あの、さ。近くにいるんだけど」

『だめ』

「まだなんも言ってねーじゃん」

『明日からシアトルへ出張。だからだめ』

「でも、もう着いたから」


入れてもらえないかも、と思っていたけれど
エントランスのロックは解除されていたから
エレベーターであの人の住むフロアを目指す。
玄関のインターホンを鳴らすとすぐにドアが開いた。


「だめって言わなかったっけ」


じゃ、なんですぐ招き入れてくれんだよ。
言ってることとやってることが真逆じゃん。


「……なんかあったの」

「あー。まぁ、ね」

「なに」

「また、振られた」

「……そ」

「なにそれ。冷たいなぁ」

「自業自得でしょ」

「そりゃそうだけどさ!」


本当に不思議なんだけど。
こんな風に言われても落ち込んでいた気持ちが
なくなっていく。

呆れながらも冷蔵庫を開けて
冷えたペットボトルを渡してくれる増田さんは
ぶっきらぼうだけど、優しい。
だから俺は、ついこの人に甘えてしまうんだ。



「ますださん」

「なに」

「おれ、もう懲り懲り」

「なにが」

「……女子」



俺の言葉を聞いて、増田さんは心底驚いている。
そりゃそうだ。
会社でも女子大好きのチャラ男で通っている。
懲り懲りなんて、どの口が言ってんだ。


「……大丈夫?熱でもあるんじゃないの?」

「ひでーな」

「だって、女の子大好きじゃん」

「んー、でもさ。続かないんだよね」


そう。ありがたいことに
なにもしなくても女の子は寄ってくる。
でも、いつも振られるのは俺。
みんな、示し合わせたように
最後は同じセリフを言うんだ。



“増田さんの話ばっかだね” って。



……あれ?





.

sleepless night<2>→←やっぱり好き



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (81 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
189人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。