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雨夜の月<7> ページ40

増田side



「手始めに、私の第1秘書になってもらおうか」


親父さんのプランに、ゆうやがすかさず待ったをかける。



「父さん!だめ!」

「……何だ」

「そんなの公私混同じゃん!タカは俺のだよ!」

「私だって貴久くんの仕事ぶりを見たいじゃないか。公私混同は、お前だろう?」



なにこの親子……

親父さんは言わずもがなだけど
ゆうやだって短期間で会社を立て直すほどの
才覚を持っている。
出逢った頃は、人に興味ありませんって
冷めていたのに、こいつは変わった。
もともと持っているカリスマ性に人間味が加われば無敵だ。
それなのに、こんなことでケンカ?



「どっちもどっちでしょ?」


2人の様子を見ていた祐希くんが耳打ちする。


「あー、まぁ……」

「2人とも増田さんが好きだから。すみません」

「いえ……」

「とにかく、だ。貴久くんは、私につける。
いいな」

「やだ!」

「祐也。わがままが過ぎるぞ」

「タカ、行こっ!」

「は?え、どこに……って、おい!」


親父さんが諭すのも聞かずにゆうやが俺の腕を掴む。









「はーっ!油断も隙もないんだから!」

「油断も隙もって……仕事の話だろ?」


本当に子供みたいだな。
むくれている顔を見ていたら
なんだかおかしくて笑ってしまった。


「……なんで、笑ってんの」

「いや、かわいいなぁ、と思って」

「かわいくない」

「そ?俺はかわいいと思うけど」


クスクス笑っていると、ゆうやがピタリと身体をくっつけてきた。


「本当に……いいの?」

「なにが?」

「手越に入ること」

「うん」

「びっくり、した」

「一生、離してやらないって言ったでしょ」

「ん…。でも、やっぱ納得いかない」

「ん?」

「父さんの秘書なんて」

「親父さんの下に付いたって、俺はお前のものだよ」

「たか……」



自分の親にやきもちなんて、かわいすぎるだろ。
“手越”として生きることを選んだお前が、
少しでも楽になるように俺がずっと守るから。
それが、俺の存在する意味になるから。



「けど一緒にいるためには、とりあえず結果出さないとなー」

「タカなら大丈夫だよ」



ふふふと笑うゆうやを、ぎゅうっと抱きしめる。
諦めていた恋が、今、この腕の中にある奇跡に
感謝しよう。
明日も明後日も、ずっと先の未来まで
手を繋いで歩いて行けますように。





「ゆうや」

「……すきだよ?」

「先に言わないで」

「たまにはいーじゃん!」

「ばか」

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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時

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