雨に濡れて<2> ページ26
手越side
ずっと一緒にいられるって思っていたのは
俺だけだったのかもしれない。
<そろそろいいだろう?>
父さんからの最終通告。
「名家」と言われる実家を継ぐことに
なんの疑いも持たず生きてきた。
小さいころから、寄ってくるのは
「手越」の名前に目が眩んだ奴ばかりで
本当の友達なんて1人もいなかった。
女の子だって同じ。
だけど、それでよかった。
俺は、お前たちとは違う。
友だちなんていらない。
恋人もいらない。
ずっと、そう思ってた。
……この人に出会うまでは。
初めてだったんだ。
「手越」を気にしない人は。
<ねぇ、第三講義室ってどこか知ってる?>
<ああ……、ここ真っすぐ行って右曲がったとこ>
<ありがと!>
他愛もない会話。
大学に入学して間もないころだった。
同級生……なのかな。
人に興味のない俺が珍しく気になったのは
あの屈託ない笑顔のせいだろう。
それから気が付くと、いつも彼を目で追っていた。
彼は同級生だけど、俺より1つ年上で
どうしてもこの大学に入りたくて1浪したと
誰かが言っていた。
その人は、男女問わず、<まっすー>と呼ばれていていつも輪の中心にいて。
彼のことをもっと知りたいと思った。
<……増田、さん>
<えっと……確か同じゼミの…>
<手越です>
<あっ、そうそう!講義室教えてくれた子だよね!あの時はありがと>
<……いや、全然>
<で?なんか用事?>
<あー……、あの。俺、あんま人に興味なくて。
でも、増田さんのことはなぜか気になるって言うか……>
「まっすー」はしどろもどろに話す俺にキョトンとしている。
ああ、俺、なに言ってんだろ……
<手越くん>
<……はい>
<ふふ。敬語やめて?>
<ごめん…>
<もしよかったら、友達になってくれる?>
<へ?>
<俺、友達になりたい>
<ほんとに?>
<ここでウソ言ってどーすんの?>
<ははっ、そりゃそうだ>
<じゃあ、決まり。あ、俺のことはまっすーでいいからね>
<まっすー…>
<うん。よろしく>
<じゃ、俺のことも呼び捨てで>
<ありがと、わかった>
まっすーはニッコリ笑うと、本当に自然に握手をした。
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りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、温かいお言葉、本当にありがとうございます(^^)。子供と大人の割合が半々くらいの手越さん、いかがでしたでしょうか(^^)。最後は、増田さんの重めの愛で締めさせていただきました。これからも甘々な2人を描けるように頑張ります! (2019年5月14日 21時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - りおさん» 早速、可愛い手越くんがいっぱいで最高です! ちっちゃくなるだけじゃなくて、テゴマスの甘々もあるのが新しくてとても楽しみです! (2019年5月14日 19時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - 莉織さん» 莉織様、コメントありがとうございます(^^)。子供になってしまうと言う設定は初めてなので手探りで物語を進めております。少しでも楽しんでいただければ幸いです!本当にありがとうございます(^^)。 (2019年5月14日 6時) (レス) id: de0e8fed57 (このIDを非表示/違反報告)
莉織(プロフ) - いつもお話読ませて頂いています。甘々なテゴマスがいっぱいで面白くて、最高です。今回は、手越くんが子供になるみたいなので今からワクワクです!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年5月13日 18時) (レス) id: 6e79a16567 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りお | 作成日時:2019年5月13日 6時