sweet sweet sweet

Tigre et lapin ＜5＞ ページ18

増田side


どうして手越をマンションに連れてきたのか

こいつの言う通り、俺には関係ないことなのに

風呂から出たら、もうあいつ帰っちゃってるかもな

そんなことを考えながら、リビングへ戻ると

ソファに寝転がっている手越の姿を見つけて

ホッとする

「てごし？ベッドで寝たら？」

「………」

「起きろ。風邪引くぞ」

「たかぁ……」

完全に寝ぼけてるな。タカ呼びになってるし

「ベッドで寝ろ」

「んー……。一緒に？」

「そう」

「んー、ふふふふ。じゃ行く……」

「こら。寝るなって」

また目を閉じていくのを必死で止めるけど

その甲斐もなく寝息が聞こえてくる

しかたない、抱いて運ぶか

華奢な身体を抱き上げて寝室へ連れて行く

「た、か……あ、いや……増田さん……？」

「起きた？」

「えっっっ！てか、なになに？！」

「なにって、ベッドに運ぶ途中だけど」

「降ろして！自分で……っ」

「もう着くし」

真っ赤になってる手越をベッドに降ろす

「あー、重かった！さっさと寝ろ」

「……ごめん」

「ソファでうたた寝する癖、変わってないね」

手越は黙ってじっと俺を見つめている

「ベッド行けって言っても、言うこと聞かないところも」

「だから……、ごめんてば」

「お前、俺がいないとダメかもね」

「……え？」

「誰彼構わず遊びまくるし、撮られるし」

「ますださん……」

何言ってんだ、俺

自分から、別れようって言ったくせに

「なんで……っそれ、今ごろ気づくかなぁ」

あの夜と同じ綺麗な涙

違うのは、手越の顔が幸せそうだと言うこと

ああ

やっぱりお前は、綺麗なものをたくさん持っているんだな

そっと頬に手を当てて、涙を拭う

「寂しがりや」

「……増田さんにはわかんないよ」

「そ？俺もそんなに強くないけど」

「え？」

「ずっと、こうしたかった」

顔を近づけて、唇を重ねる

「ん……」

「さみしかった」

「うそだうそだ！そんな素振り少しも……」

「なんで気づかないかなぁ〜」

「……ますださん」

「あれ？タカ、じゃないの？」

「……ばか」

「もう一度俺と付き合ってくれる？うさぎちゃん」

態と茶化した俺に、手越は綺麗に微笑む

「うさぎだからって食べないでね、とらさん」

「……それは、オオカミじゃね？」





ま、食べちゃうんだけどさ



,

Dans ce bras＜1＞→←Tigre et lapin ＜4＞

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す