sweet sweet sweet 4

Black bitter＜7＞ ページ3

♡side


ノックをする音。
おかだくんが戻ってきたと思った。

振り向いた途端に、時間が止まる。
そこには、たかひさが立っていたから。
どして？
どしてここにいんの。
もしかして、おかだくんが……？
たかひさも、やられたって顔をしてる。
気まずい空気が流れる。
でも、せっかくおかだくんが作ってくれたチャンス。
ちゃんと気持ち伝えないと……。



「あの、ますださん」

「……お前が頼んだの？」

「え……？」

「岡田くんに。俺を連れて来いって」

「ちがっ……！」



そんなこと、するわけないじゃん。
目頭が熱くなって、視界が滲む。
話したいこといっぱいあるんだ。
それに……
それに、ゆびわかえしてほしい。
たかひさのだって言う印なんでしょ？
おれ、まだあなたと繋がっていたい。
独りよがりだってわかっているけど。



「……まって。ゆびわ、かえ……し、てよ」

「……もう、要らないだろ…？」

「なんでだよ！要るよ！……かえしてよ…」



泣き喚く俺を包み込む温もり。
たかひさも、泣いてる……？
ごめん。
ごめんね。
困らせたくないのに。
でもそばにいたい。
この気持ちは、どうしたらいいの？



「てごし……？」

「………………………」

「ねぇ。返事、して……？」

「………」

「ゆうや…？」



少し身体を離して見上げるたかひさは
やっぱり目が潤んでいて
それを見たおれは、とてつもなく悪いことを
した気持ちになった。



「……ごめんなさい…」

「…いや」



不意に外される視線。
温もりは変わらないのに
前みたいに優しく微笑んではくれないんだね。



「ますださん……」

「……ん？」

「…困らせてごめん。もう行くね……？」

「………っ」



抱きしめられている腕を解こうとすると
また強く引き寄せられる。
どうしてそうされたのかは、分からない。
分からないけれど、ずっとこうしていてほしい……。









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