恋じゃなくなる日

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▽side


「タカ……」

「眠れない？」

「ごめんなさい……」

「謝らなくていいよ」

「うん……。あの、ね…？」

「ん？」

「ぎゅってしてもい？」



両手を広げると、ゆうやは首に腕を回して
肩のあたりに顔を埋める。身体が震えている。
事情が事情とは言え、緩やかな時間の中から
いきなり現実へ連れ戻されたことを考えると
胸が痛む。少しでも心が安らぐようにしてやりたい。


……あ。
そうだ。エマ。
確か、実家に預けてるって言ってた。
動物を家に入れるのは抵抗があるけれど
きっと喜ぶ。




「タカ……。おれ、こわい」

「…こわいね。でも、ここなら大丈夫。
それにみんな、お前のこと守ってくれるよ？」

「みん、な……？」

「そ。小山もシゲも、事務所だって。
お前を守るために動いてくれてる。だから大丈夫」

「そ、か……。ありがたいね……」

「そ……だね……」



ゆうやの温もりとお風呂で温まった体温が
一気に睡魔を呼び寄せる。
そういえば明日、仕事だったな…
なんて考えながら。



「タカ……寝てね？つかれたでしょ？」

「あぁ、うん……。どこにも行くなよ？」

「いかないよ……。いけないよ……」



遠のく意識の中、ゆうやの身体を抱きしめる。
眠っているうちにいなくならないように。
ねぇ、ゆうや。
気付いてないかもしれないけどさ。
みんな、お前が大好きなんだよ？
だから、どこかへ行ったりしないで。
ずっとずっと俺のそばにいてよ。









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